じゃあ、ミャンマー

軍事政権から民主化へと移行し、今後の発展が期待されるミャンマーの記事を書きたい、と思います。

スー・チー女史

ミャンマーの民主化シンボルと言っていい女史ですが、この人はどんな人なのかを簡単に紹介したいと思います。この人のお父さんがアウン=サン将軍、と言って、ミャンマー独立闘争の英雄で、志半ばで暗殺されたので、母子家庭で育ちます。とは言え、英雄の子供ですので、権力者からいろんな庇護を受けて育ったようです。

当然、国内の権力者だけでなく、海外の権力者も取り込みに来ますので、女史はイギリス、オックスフォード大学に留学しますが、相当成績が悪く、中退寸前をなんとか卒業、アメリカ、ニューヨーク大学で修士課程を始めるも、中退し、国連に職を得て、イギリス人と結婚し、一時は専業主婦になります。その後は名門の子供にありがちな非営利団体を転々する人生を歩みます。ちなみに日本の京都大学にも籍を置いたことがありますよ。

この人の人生が変わったのはお母さんが危篤で、看病のため帰国していたら、民主化運動が始まって、お父さんの名声を利用しようとした人達からリーダーに祭り上げられ、演説をし、軍事政権から目をつけられて、自宅軟禁が始まります。こうなってくると意地になってきて、夫が危篤でも、帰国できなくなるのを恐れて、放置してでも、政治にのめり込みます。西側もノーベル平和賞を与えてみたりして、肩入れしだします。

自宅軟禁を我慢し、待ち続けた波がようやく来たのは2010年で、国際的圧力に屈した軍事政権は女史の軟禁を解除、2015年には総選挙で圧勝して、事実上のトップに立ちます。もう高齢ですし、あくまでシンボルであり、政治経験もないですし、これで後進に道を譲って、顧問としてミャンマーを見守っていけばいいのに、と思いますが、待ちに待った権力の座を手放さなくないので、傀儡を置いて、独裁者宣言をした、と言うのが現状です。

彼女の政治的スタンスは英米よりの中国、日本を天秤にかけて、援助を引き出そうとする風見鶏スタイルです。小国のトップとしては正しいのではないだろうか?、と思います。英米に散々世話になって来た事情もありますし、夫はイギリス人、息子もイギリス国籍、イギリス在住、兄はアメリカ国籍、アメリカ在住なので、英米びいきにならない方がおかしいです。歴史観もイギリスの植民地支配はスルーして、日本を非難するものですし、親日ではありません。

国情

ミャンマーって、多民族国家で、一致団結した国ではなく、民族対立も激しいし、カレン族の独立運動もあったり、放置すると、バラバラになってしまう国だと言えます。インドがそうであったように、強権的な支配者が去ると、内戦が発生して、いくつかの国に別れてしまうでしょう。だから、軍事政権、独裁者は必要なんだ!っと言う人もいます。

ミャンマーって、地理的にもタイ、インドに挟まれてますが、文化的にもその中間で、風土、食べ物、気質もちょうど中間です。独裁政権にありがちな素朴な国民性で、伝統を守って生活している人です。私が訪問した数年前の最大都市のヤンゴンですら、ロンジーを着て、タナカを頬に塗っている人が普通でした。日に焼けるのを嫌がって、大の男が日傘を使っていたのも印象的です。

東南アジアはどこでもそうなんですが、少数の華僑が経済を支配していて、資本家の多くが中国系の顔つきをしています。中国、雲南省と接しているので、雲南からの移民だと言っているホテルのおばあちゃんもいました。古い移民だけでなく、中国から荷物を抱えて行商に来ている若い中国人もいて、バイタリティはハンパないな、と思いました。

ミャンマー人は日本のバブル期に出稼ぎして資金を得て、のし上がった人も多いようで、比較的親日的だと思います。ヤンゴンをウロチョロしていたら、日本語で話しかけられ、警戒したんですけど、日本に住んでいて、里帰りしているミャンマー人のおばちゃんが道に迷った日本人を助けようと声をかけてくれたようでした。

私自身はミャンマーに良い印象を持っていて、また行きたいなぁ、と思っています。軍事政権の為に行動は自由にはならなかったんですけど、今度行く時は民主化になって、変わった様子を楽しめるでしょう。物価高、外国資本の流入で、人の心は荒れてそうですけど、それは仕方ないです。鎖国が開けると、どの国も荒れた感じになるのは避けられません。

発展モデル

鎖国時代から隣のタイからの資本流入が盛んで、ミャンマー人はタイでの不法労働で、外貨を稼いでいますから、それが進むのがまず最初で、本格的投資はシンガポールを経由して、間接投資かなぁ、と思います。日本企業もタイならミャンマーに安い労働力を求めて、進出を予定しているようです。国民性もおっとりとしており、縫製工場なんかは向いているだろうと思います。

石油も取れますし、海に接していて、交通の弁もいいので、国としてのポテンシャルは大きいだろうと思いますが、旧ユーゴスラビアが英雄のチトーがなくなったことで、分裂したように、スー・チー女史を象徴として国民がまとまっているうちはいいですが、スー・チー女史が悪政を敷いたり、急死することがあれば、軍事政権の復活となるでしょう。

まずはロールモデルをタイとして、うまく治安を守り、ルールを決め、外資が投資しやすい環境にし、安い労働力を武器にした加工産業を発展させつつ、資源を利用して、外資から技術を吸収したり、インフラ整備をさせたりしながら、徐々に足場固めすることになるのでしょう。今のミャンマーは自国で何にもできないくらい技術がないです。

元はアジアでも有数の富裕国として知られ、タイを圧倒していたのですから、ポテンシャルはあるのです。鎖国、多民族国家の運営が上手くいかず、世界最貧国クラスに落ちぶれてしまいましたが、逆に言えば、国を開き、上手く外資を取り込み、民族間バランスさえ取れば復活します。(多くの国が民族問題には苦労していますけど。)

まとめ

スー・チー女史の独裁宣言にはがっかりしましたが、適当なところで後継者を指名して貰いたいです。ここで、きちんと民主化を確実せず、独裁政権にしてしまうと、また、軍人に付け込まれ、軍事政権に戻ってしまう可能性が高いので、権力に固執して貰いたくないです。

彼女の役割はあくまで民主化のシンボルでしかありません。前半人生はお父さんのレガシーでフラフラ遊んでいただけで、後半人生は自宅軟禁されていたので、国を仕切るだけの経験があるはずありません。この辺はタイの前国王陛下を見習って、実務的なことに手を出さず、肝心な時に一喝する優しい守護者として余生を送るべきです。

すでに少数民族のイスラム教徒、ロヒンギャへの迫害で、国際社会からの追求を逆ギレして、無視したりしています。もう後任者を選んで、表舞台から身を引いた方が良いと思うのですが、長い間かけてようやく手にした権力をなかなか手放さないのでしょうね。

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