日本で不動産を買うって本当にリスクが高いと思います。人口減、災害、デフレだけでなく、法律面でも極めて買い手に不利になっています。
開発
日本の不動産開発許可はかなり緩いです。こんな危ない場所に家を建てて大丈夫なのか?と言いたくなるようなところでも平気で開発をしていきます。山の斜面、堤防沿い、電線の横、電車の通り道、極小地、旗竿地となんでもありです。
その結果、住宅は都市部ですら明らかな供給過剰になります。採算だけを考えた乱開発により収容人数が爆発的に増えていき、それに合わせて交通インフラも環境を無視して乱開発が進む為、都市圏が膨張します。
都市圏膨張に合わせて、元々は郊外の工業地域だった場所が集合住宅になったり、分譲住宅他に変わっていくので、延々と収容人数が増えていきます。東京近郊に工業地域は少なくなりました。
毎日、百キロ近くを公共交通機関で通勤できる国は日本の他にないだろうと思います。欧米だと車で百キロ近くというのはチョコチョコありますが、田舎であり、都市圏の話ではありません。
つまり、日本では都市部ですら乱開発で住宅供給は十分にあり、都市郊外も乱開発で通勤圏、比較的便利である為、どうしても都市部に住む必要がなく、不動産価格はなかなか上がりません。
例えば、ニューヨークの場合、マンハッタン、それ以外では利便性が全く違うし、規制により新規開発は許可が下りない為、既存の住宅を競うように買うということになります。
景観
日本人は景観を気にしないのか、周りとの調和を無視した奇抜なデザインで住宅を建てます。人目を気にする国民性ですが、住宅だけは好き勝手にするのは本当に不思議です。
歴史ある地区ですら、めちゃくちゃに住宅を建てるため、高さ、大きさ、デザイン、すべてがバラバラの雑然とした景観になっていることがほとんどです。
新宿、渋谷のように雑然とした景観が味になることもないわけではありませんが、浅草、銀座なんかは景観を統一した方が街全体の価値が上がると思いますが、規制がないため、好き勝手に建てます。
結果、日本人はアドレスにこだわることはありますが、街全体の調和にはこだわりがなく、ブランド価値を持つ街はほとんどなく、不動産、インフラ以上の価値観を育てられません。
欧米だと、景観を汚す建物は行政が許可しませんし、住民も黙っていません。建て直し不可、リフォームは景観を変えないことが条件であることも珍しくありません。例えば、パリのポンピドゥー・センターも奇抜なデザインから、かなりの批判があり、定着するまでにかなりの時間が必要でした。
港区女子wとか、恵比寿女子wみたいなアドレスに憧れる女性はいても、その統一感、街が生み出す文化に対して強い愛着を持ってはいない為、景観を守るためには活動しないとでしょうね。
保護
日本では住環境保護、景観保護は全くしませんが、住人保護は強すぎるくらいです。一度、住んでしまうと追い出すことがほとんど不可能になります。違反建築だろうが、固定資産税未納だろうが、立ち退きを迫られません。
日本では住宅が開発計画に引っかかっても、強制退去にならない為、電車が住宅の真横を通っていくとか、他の先進国では見たことないような光景がそこら中で見ることができます。
借主も同じで、貸主が建て直したくても、お金を払って、頭を下げて出て行ってもらうことしか出来ず、家賃の値上げも極めて困難です。借主が異議申し立てをすれば、強制退去にはなりません。
ボロボロになった集合住宅も修繕費が出せない区分オーナーを追い出すことも出来ませんし、行政も介入しない為、区分オーナーで運営する管理組合で合意しないと、景観を汚す建物がそのまま残されることになります。
街を開発しようにも、なんでこんな所にこんな建物が残っているのかわからないような状態になります。強制退去をさせられない為、無理な開発をすることになったり、工期がどんどん長くなり、買い上げ、借り上げ費用が上がっていきます。
つまり、日本では公共の利益より弱者、個人の利益が優先される為、全体の価値が上がりづらい街づくりになってしまうわけですね。自分の住んでいる場所だけ良くても、全体のイメージが悪ければ、価値は上がりません。
実際、消防車、救急車が通れないような密集住宅を解体しようとすると、左翼の息がかかった運動家が住民を焚きつけて延々と再開発が進まない地域がそこら中にあります。
まとめ
日本で不動産を買うのは限定的な場面だけです。ブランド力、インフラ整備が抜群に良い場所だったり、郊外の比較的広い戸建てでもなければ、負の不動産となってしまう可能性が高いです。
都市部の駅から歩ける場所にある低層アパートなり、郊外の駅から程近い所に戸建てを買うなら、ある程度長く住めば、損をすることはないでしょうが、高層マンション、極小戸建ては処分することすら困難になるでしょう。
目黒に住んでますw、とか言っても駅からそこそこ遠い狭小住宅だとか、どう処理するつもりでしょうか?バリアフリーなんて糞食らえの構造になってますが、死ぬまで急階段を3階まで上がって洗濯物を干しますか?
無理な作りの建物、狭い土地を誰が買いますか?地上げ屋が周りを合わせて買い上げてくれないと単独では売れませんよ。売ろうにも大損の叩き売りをする必要があり、無理して買ってきたら最悪は売ってもローンが残りますよ。
その土地に魅力のない郊外の集合住宅なんて最悪です。元々、郊外の集合住宅は金銭的に不自由している人の集まり、新しい住民が来ないので、築年数が経つと、住民の年齢層が上がり管理修繕費を払えない、大幅改修費用が払えない人が続出します。建て替えても売れる見込みもありません。
郊外の集合住宅が要らなくなっても売るに売れない、固定資産税はしれたものにしても、管理料はかかる。面倒な管理組合には出なきゃならない。何をするにも自分だけで判断出来ません。
そうなると、駅から近く、街のブランドイメージが確立している場所の低層集合住宅でないと、住民層の入れ替えが起こらず、建て替えで階層を増やすことにより、費用をカバーできることを前提とする必要がありますね。
もしくは、郊外に安い戸建てを買って、要らなくなったら建屋は潰す前提で土地だけ売れば良いです。まとまった広さがあれば、欲しがる人はいますよ。仮に売れなくても管理料は取られないし、固定資産税も知れたものです。
良く考えないと損をするのが日本の不動産であり、借り手が圧倒的に有利な法律になっています。
賃貸 vs 持ち家 永遠の論議ですね
マンションだと分譲の方がいい造りになってるので、持ち家のほうが家での生活レベルは上がりそうですが。
そもそも、賃貸物件を分譲レベルのクオリティにすれば入居者も増えていいと思うんですが、何か枷があるんでしょうかね?分譲レベルとはいかなくても、ユニットバスじゃなくてバストイレ別で作るとか…。そんなに予算変わるんでしょうか。
ニュースで見るんですけど、家賃を払わない入居者が多くて困ってるそうです。お願いして払ってもらえるようになるとか。このあたり、あり得ないですよね。すぐに追い出されてもおかしくないです。家主が雇った業者が、未払い住人に少しでも払ってくださいって頭を下げてるのが別の世界のことのようでした。
>賃貸 vs 持ち家 永遠の論議ですね
私は結論は出てると思います。イグジットが困難な日本市場だと、持ち家に実利的メリットはありません。特殊なケース、心理的メリットくらいのものでしょう。
>そもそも、賃貸物件を分譲レベルのクオリティ
分譲物件を賃貸すれば良いだけの話です。リスクの高いタワマンも興味があれば、借りれば良いです。乱開発のために無数の新規物件がありますし、選択肢はいくらでもあります。気に入ったら住み続けば良いです。ボロボロにしても敷金以上には請求されません。請求されても無視すれば、そう簡単に取れないし、裁判なんかしたら赤字になるので大家が諦めざるを得ません。家賃を払わなくても強制退去させられませんし、家賃の値上げもほとんど認められません。それどころか、相場が下がってきたら家賃下げる交渉は可能です。借り手ばかりがあまりにも有利な市場だと思いますね。
不動産はイグジットが見えてこそ投資です。日本ではよほど運が良くないと買値より高く売るどころか、同レベルで撤退すら困難です。転職、家族構成の変化、家族の病気など、不意に転居する可能性は無数にあり、転居すれば、ほぼ確実にマイナスを背負う極めてリスクの高いギャンブルですね。
かりりんさんもコメントしてましたが、アメリカはリフォームしながら数年住んで売りに出すと、割と儲かるケースが多いので注意して買えば、割の良い投資だと言えます。他国も大体似た事情で不動産投資が行われます。
シン
私は相続する土地が会社の近くにあったため安く家を建てましたが、
ほとんどの場合でないと賃貸の方がよさそうですね
そういう特殊なケースならともかく、日本で新築の家を建てると、ご祝儀価格で2、3割持っていかれるので所有した瞬間に割と大きな含み損を抱えることになります。普通の人が数千万円の株式投資をして即2、3割マイナスになったらパニックになると思いますが、なぜか、日本人は家となると平気なんですよね。
シン
全く同感です。
日本人は不動産購入も投資だという観念が無いのでしょう。
素人が買える物件は全て含み損を抱えると同時に所有コストもバカ高いので、全く割に合いません。
住居は賃貸を渡り歩くのが一番効率良いです。
私は日本の将来は重要文化財を売りにした観光業で外需を呼び込むしか食ってく見込みはないとさえ思っています。
街の景観を無視して京都、奈良、鎌倉等の価値を下げ続ける愚行は改めなければなりません。
日本での不動産購入は、結婚と同レベルで投資としての価値が無いですね(子供という点では結婚の方がまだ上か?)。
一時期、西洋のとある国に住んでましたが、確かに日本は西洋と比較すると、自分の町の景観・歴史に無頓着です(まあ東アジア全般にいえる気もします)。
不動産屋やら、鉄道屋やらが、しょうもない街をブランド化して、情弱に売るというシステムが構築されているので、乱開発が起こるんでしょう。
武蔵小杉なんて、やばいやばい言われてきた23区東部より先に酷いことになったのは笑えましたね。
日本の家の文化的背景に木造建築で比較的早くに建て替えるスクラップアンドビルドの風習が有り、欧米の様な石の文化で中だけインフィルを変えて住み続ける発想が遺伝子レベルで無いと思う。
昔から女房と畳は新しいに限ると言いますよね。
あえての逆張りで積極的に賃貸のデメリットを挙げるならば、高齢者になり仕事も退職して、
保証人や緊急連絡先になってくれる親族や友人がいない場合、入居審査が下りにくくなることですかね。(生活保護受給者の場合は、行政が面倒みてくれるので逆に下りやすくなる傾向にあります。)
保証会社や審査会社にもよるんでしょうけど、知人のお爺ちゃんは年金そこそこもらってて預貯金もたんまりあって変な持病もなくて家賃2年分を前払いする、保証代行サービス使うと言っても天涯孤独に難色を示されて結局審査が下りませんでした。
あまりに可哀想でしたので、保証会社や管理会社を入れていない知人が経営しているオーナー直営物件を紹介して何とか入居させてやりました。
一生賃貸でいくと決めたなら、退職間際までに終の棲みかとする物件を見つけて以後は引っ越ししない。親族や友人知人と積極的に交流して友好な関係を維持しておく。
リスクヘッジのために不動産オーナーのトモダチをたくさん作っておくなどの準備は必要だと思いますね。
その問題は賃貸というか、生涯独身の問題だと思います。生涯独身は増え続けるの同時に保証会社、サービスは増え続けるでしょうし、お金さえあれば解決するでしょう。独身者なら万が一に助けてくれる親族、友人との関係を維持し続けるのも重要ですね。
現役を退き、これ以上移動しないことを決めた時点で終の住処として買ってしまうのも良いし、老人ホームに入るのも良いです。転勤、家族構成が変化がありえる現役世代が不動産を買う理由にはならないと思いますね。
老人にとっても、市場が違えばリバースモーゲージが老人を守る年金がわりになるので、あくまで日本市場での話です。
シン
同感です。現在、家探し中ですがSUUMOやホームズで家を探していてもゴミ物件しかヒットしません。
一見、まともな物件も値段が割に合わずに買い手がみつかっていません。
都市部ではマンションが主流ですが結局の所「共同住宅」なので、嫌でも他人と関わる必要があります。
夫婦ですら嫌になるのに、コンクリート一枚越しの他人と生活やインフラで関わるのは大変なことです。
かつ、修繕積立金という財布の使い道を何十人、何百人の合議で物事を進めるのだから、揉めるに決まってます。郊外の一戸建ての掘り出し物件を探そうにも、不良債権と判断された住人がもれなくセットでついてきそうでこちらも嫌ですねw 実家最強説を唱えます。
私も賃貸歴が長いですが、仲介不動産と管理会社には常に不快な思いをさせられてきました。
(1)敷地内駐車場込みの契約のはずが、引っ越し(300km以上離れたところです)前日に手違い
なので、近隣の駐車場に停めてほしいといわれる。
(2)給湯器、エアコン等の設備故障(一言で言えば寿命)の際、電話を数日にわたりたらい回しにされた挙句、使い方が悪い様ないい方をされる。
(3)10年以上住んだ賃貸を退去の際、現状復旧と称し。畳の表替え、壁紙張替え資料を要求される。等・・・いずれも当然のような物言いできますので、時にはきれたり、理詰めで交渉しなくてはなりませんでした。
住人がある程度、法律的に保護されている分、その対応策がクズ不動産や管理会社の蛮行ではと勘ぐってしまいます。こういった人種に管理料とか更新手数料とか払うのが、心情的に我慢できません。大した金額ではないですが、トラブル時の対応を考えると、反社会的組織にみかじめ料を払う方がまだましかとさえ思います。ともかく、口をきくだけで不快になり、少なくない人がそういった気分を味わっているのではと思います。そして、その蓄積が無理してでも持ち家へと走らせているのではないかと想像してしまいます。全く合理性がないのは皆分かっているのだと思いますが。
>住人がある程度、法律的に保護されている分、その対応策がクズ不動産や管理会社の蛮行ではと勘ぐってしまいます。
テナント保護が一切行われていないシンガポールではもっと酷いので不動産屋はタチの悪い人が多く、店子の悲哀は古今東西同じだと思います。リスクを負ってない分、立場は弱くなりますね。不動産市場が右上がりなら間違いなく買いだと思います。
シン