じゃあ、メーカーは手詰まり

私は以前から工学、特に機電系を推してきたので、メーカーに肩入れをしていると思われがちなのですが、実際はメーカーは手詰まりになっており、よほど上手くやらないと、生き残りは難しいと思っています。

トップ

とにかく、何でもいいので、その分野でトップを目指す、それができなくとも、2番手までに入らないと、その分野で生き残れなくなってきています。一般的に言われるように、その業界の競争が激しくなってくると、シェア2番手までしか利益が出せない、という傾向ですが、メーカーに限らず、それがかなり多くの業界に広がっているのです。

本当に厳しい業界だと、2番手ですら、生き残れず、トップ以外は淘汰されてしまいます。例えば、検索エンジンはグーグル以外はほぼなくなりました。日本ではヤフー検索をする人がいますが、これもとっくにグーグルになっています。SNSはFacebook以外は消滅の危機に瀕しており、日本では人気のTwitterもいつ倒産してもおかしくない状態です。

日本にはメーカーが多すぎるだけでなく、日本独自のおかしな慣習で生き残っているゾンビみたいな企業がたくさんあり、その慣習を守っている元請けがどうにもならなくなって、下請けを切り捨てしたら、それで倒産します。技術的にその会社でないとできない何かがないなら、救済する必要もありません。マクロ的にはそういう企業はさっさと倒産してもらった方が世のためでしょう。

品質

日本企業が世界を席巻したのは品質が良く、コスパが優れていたので、他の選択肢をふさぐような売り方ができたのです。その品質がデジタル化によって、どこで製造しても、品質がほとんど変わらなくなってしまうと、品質を武器にして、市場開拓できなくなってしまいます。そうなれば、他に売る方法を考える必要がありますが、それができない日本企業は淘汰されるでしょう。

弱電を見ればわかりますが、日本企業の品質なんて通用していなくて、ほとんど使わないおかしな機能がついていて、その分だけ価格が高い、という消費者がうれしくない製品になっています。世界一の消費国家であるアメリカでも日本製家電なんてほとんど見ません。韓国、台湾に完全に乗っ取られてしまったのです。辛うじて、自動車がシェアを保っていますが、これは車が安全性を問われるからです。

つまり、安全性を売り物にするものでないと、品質を売りにしても、誰も興味を示さないわけで、ギャラクシーが爆発したって、死人は出ませんが、タカタのエアバックが作動しなければ、死人が出るので、絶対品質が問われるわけです。それと同様に医療機器、プラントなど、絶対品質が求められる分野以外で、日本企業は戦えなくなっています。母体が先進国である日本にあって、無駄の多い組織である以上、価格勝負をしても、ガチガチの筋肉質にした鴻海にかなうわけないです。

ブランド

これから日本企業が考えていかなければならないのはブランドを売る、ということです。トヨタがレクサスで高価格帯自動車を市場開拓していますが、これは品質、サービスの徹底によって、すでにブランド力を確立している欧州メーカーと戦う、という形を鮮明にした戦略ですが、こういった製品そのものだけでなく、安心感など、目に見えないものを売らないと、生き残ることはできません。

逆に言うと、きちんとブランド力を確立できるなら、日本製は売れますので、TPPで逆に海外に殴り込みをかけることも可能だと思います。実際、シンガポールで日本の高い米、肉、野菜を買っている富裕層のシンガポール人がいますし、その品質にブランド力をつけて、それを食べていることを自慢できるような方向に持っていかなければなりません。どんなにいいものでも、聞いたことないものなら、その対価は低くなります。

ブランド力をつけるための戦略を考えて、動くことのできない会社は一物一価の原理から、投げ売りに負けて、どんどん経営体力を失い、ブラック企業として、社員の健康を犠牲にしながら、ボロボロになっていき、倒産、という形になるでしょう。残念ですが、多くの日本企業は根性に走るので、将来性はないです。

まとめ

製造業にブラックが比較的少ない、とか言っても、零細なんかは酷いもので、社員を痛めつけてなんとか存続しているような企業はそこら中にあり、そういう会社は完全にブラックです。製造業の離職率が高くなるのは零細企業が多いからです。金融なんかは闇金を除けば、零細企業はほぼなく、地方の信金でも、中小規模は最低あり、あり得ないようなことはしません。

特殊な技術力がなく、マネタイズできる方法がなく、利益を出して、社員に還元できないなら、それはメーカーでもなんでもなく、単なる奴隷労働です。そういう会社の離職率が高いのは当たり前でしょう。そういう会社って、他に行き場のない中高年、外国人研修生の奴隷労働で辛うじて存続しています。まともな待遇にすると、倒産するのです。

例えば、汎用樹脂部品製造なんて、まともに利益を出せるわけないです。樹脂価格なんてナフサ価格の変動で決まるので、買う量を増やす以外に安く変える方法もなく、元請けに有償支給してもらい、金型も支給され、古い射出成型機で成形しているなら、利益率は顧客に丸見えで、社員を痛めつけないと、経営できないですよ。こんなことは先進国でやることではなく、発展途上国の大工場で大量生産することです。

だから、製造業に就職するのはいいですが、何かしらの特殊技術があり、それをマネタイズできるところに行ってください。そうでなく、価格競争に晒されて、単なる消耗戦に入った業界に行くと、地獄を見ますよ。だって、社員がサービス残業しないと、経営が成り立たないんだから、経営者は管理職を追い込み、管理職は一般社員を追い込んで、利益を出すほかになくなります。

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投稿者: シン

思いついたことを記事にして、コメントをもらって、議論するのが楽しくてブログをやっています。

「じゃあ、メーカーは手詰まり」への6件のフィードバック

  1.  弱電は厳しいと言われながらも、複写機メーカーは2000年代後半までは何とか持ちこたえていましたが、最近ここに来て苦境に立たされ、弱電の最後の堤防はとうとう決壊したかという哀愁を感じました。以前複合機、OA機器上位六社のうちの一社と商談をしたことがあるのですが、フロントにかなり余剰人員を抱えている印象を受けました。大した金額でも無いソフトの資料請求をしただけで、40代以上の営業マンが大名行列のように五、六人やってきたのには本当に驚きました。この人達って年収700万円~1000万円弱貰っているんですよね。時間単価で言ったら、1万円台強、下手したら二万円台の人達が決裁権の無いペーペーの私と話すために、移動時間を含めたら、三時間以上の時間をかけてる。こんな私と話すためだけに二万円/時間×3時間×五人=30万円があっというまに吹っ飛んでしまっている。この会社は大丈夫だろうかと本気で思ってしまったことがあります。しかも名刺交換とそれぞれの自己紹介で30分、話をしているのはほぼ一人、残りは座っているだけかメモを取っているだけ。明らかに無駄以外の何物でもありません。仕事をやっているフリ、演出に腐心しているとしか思えませんでした。複写機市場は国内で飽和状態であることは情報として知ってはいましたが、まさかここまでとは思いもよりませんでした。

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    1. 確か、R社は元々営業の会社で、営業が多すぎてリストラしてますね。営業の声が大きすぎて足かせになってます。

      日本の複写機メーカーは明らかに多すぎるので、しばらく統廃合して日本連合に持って行かない限りは共倒れでしょう。日本はそういう取捨選択が大の苦手なので、後手後手に回って行きそうです。

      シン

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      1. 特許を扱う人から見て複写機メーカーは走行安全などのカメラ技術に注目してるみたいですが正直言って厳しそうな印象ですね。
        あくまで公開情報からですが

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        1. 日本の複写機メーカーって、営業の会社でトップは文系がなることがお決まりになってます。オーナー系のC、名古屋のB、外資合弁のFX、経営危機のR、東西合併KM、全部文系トップです。そういう状況で技術による現状打破は無理だろうと思います。かと言って、消費財としてブランドイメージによる復活も想像できません。

          シン

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          1. ドキュメントソリューションと称した紙媒体を電子管理に切り替えるコンサルティングでゼロッ○スは稼いでましたけど、あれって諸刃の剣でしたね。あれを推進すればするほど、紙が必要なくなって複写機メーカーの収益源の一つである紙やトナーの交換頻度が減っていきますからね。
            リ○ーの360度カメラは面白いものではあるのですが、防犯用途以外での使い道がぱっと思い浮かびませんし。

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          2. 複写機って、イノベーションは出し尽くしているので、別事業をしない限りは沈むしかありません。カメラはカメラでレッドオーシャンですし、精機も巨大企業の寡占状態で、複写機メーカーの経営者は困り果てているのが本音だろうと思います。

            シン

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