じゃあ、電子部品商社

新村上ファンドの動向を調べるうちに電子部品商社が頭から離れなくなり、記事にしたくなりました。基本路線として、大手の寡占化が進んでいる最中で、統合が着々と行われています。

外資

・マクニカ・富士エレホールディングス

この会社はアルテラ(米インテル傘下)の材料を扱う会社であり、オーナーは日本人ですが、一線を退いており、実質的には外資系企業だと言っていいのだろうと思います。統合したばかりなので、これからどうなるかわかりませんが、アルティマが支配力を増してくるだろうと思います。

・丸文

名前は純日本企業みたいですが、この会社はアメリカ大手電子材料商社、アローの子会社であり、実質、アロー日本法人だと言っていいです。

大手子会社

・UKC

ソニー子会社で、色んな会社が寄せ集められました。

・エレマテック

豊田通商子会社なので、トヨタグループです。豊田通商が総合商社化するなかで、こまごまとした仕事は子会社に分社化してきており、その流れでエレマテックもトヨタグループ入りをしました。

・トーメンデバイス

元々は総合商社だったトーメンの流れを汲んでおり、親会社が豊田通商に変われたことで、子会社になりました。しかし、取り扱いのメインがサムソン製なので、エレマテックと会社を分けているだけで、実質的な指示系統はエレマテックと同じです。

・菱電商事

その名の通り、三菱系商社です。三菱グループが支援するので、自動車のように度重なる不祥事でもなければ、何かしらの商材は与えて、生き延びることが出来るでしょうから、業界の再編にも静観していられます。

独立系

・加賀電子

激しい社風で知られ、バリバリの体育会で、挑戦を認めるため、社内ベンチャーが多いそうです。堅実な経営により、多くの含み益資産を持っているのですが、オーナーが独立系でやっていくことを諦め、UKCと経営統合に向けて協議をしたのですが、折り合うことが出来ず、統合は破綻になりました。状況は何も変わっていないので、もっと適正な資産評価してくれる会社と統合を模索するのでしょう。

・黒田電気

前に記事にした私が気になっている会社で、元々は黒田さんのオーナー企業だったのですが、創業者一族出身社長がやくざとかかわって、そのやくざが「もっと、オーナーを大切にしろ!」と本社にカチコミかけ、その証拠が取られて、解雇されてからはオーナーの力はほとんどなくなりました。

シャープの液晶パネル特約店であることが大きな特徴で、この特約が切れると、経営が大きく揺らぎます。すでにホンハイの指示により、サムソンへの供給停止が通告されており、国際訴訟に発展しました。サムソン向けの売上がないとなると、どうもこうもないですが、ホンハイはその分の補填をしてくれるのでしょうか?

そして、新村上ファンドに2015年から狙われており、2017年3月には1/3の支配権を獲得されて、今後の動向が注目されるところです。すでに創業者一族はいないので、雇われ経営者は「ホンハイが落としどころを見つけてくれたらいいなぁ。」と思っているのではないか?、と思います。

・三信電気

この会社もシャープの特約店、村上ファンドに狙われる、という黒田電気と同じ流れを汲んでおり、規模が黒田電気よりも小さいので、それほど話題になっていませんが、同じ話です。この会社も1/3を村上ファンドに買われたので、次の株主総会はフィーバーするでしょう。

・エクセル

黒田、三信よりも小さな会社で、ほとんど同じ流れです。ただし、時価総額が小さすぎ、まともに出来高がなく、新村上ファンドが毎日千株くらい地道に買っているみたいですw edinetの大量保有報告書を見ると、笑ってしまうくらい地道に買っているのですが、本当に地味な作業です。

・リョーサン

この会社はルネサスの特約店なので、村上ファンドには狙われていませんが、エクセルとは株式の持ちあいをしているので、間接的にですが、今後、徐々に影響を受けてくるのかもしれません。このまま何もしなければ、業界再編に巻き込まれ、どうにもならなくなるので、いろいろ考えているでしょう。

狙い

これでほとんどの電子材料商社を網羅したのですが、こう見ると、シャープ系の三社は村上(野村)絢さんが言うように統合して、世界規模の会社にしたほうがいいだろう?、というのは正論です。ホンハイとの交渉力を付けるためにも、みんなで一致団結して、切られないようにしたほうがいいでしょう。

この三社が統合されれば、国内最大手に躍り出ることが出来ます。世界三強は米2社、台1社なんですが、ここは1兆円規模になるので、桁が違いますが、リョーサン、加賀電子まで飲み込めば、世界レベルまで達することが可能だ、というのは間違っていないです。そうなれば、さすがホンハイ、テリー・ゴー氏も「話が変わったので、知りません。」と言い切るのは困難な規模になります。

ホンハイがアルテラのように、ホンハイ系の電子材料商社としていくつかの商社を統合して、買い取ってしまうのはありだと思うのですが、ここまで村上ファンドに食いあらわされしまった三社を押し付けられるのはテリー・ゴー氏も嫌がるだろうと思います。放置して、経営体力を奪ってから、安値で叩いて買う、というシャープに使った手法を好むでしょうからね。

これから、ホンハイがどうでるのか?、という話になってきて、テリーさんが折れて、絢ちゃんに「お嬢さんが持っている株をおじさんがプレミア付けて買ってあげるよ。」というなら、絢ちゃんの大勝利なんですけど、「知らねーよ。自社系列から顧客直売にするから、資本関係のない代理店契約は解除ってことで。」と言うなら、絢ちゃんはお父さんのお金を溶かしてしまって、怒られてしまうでしょう。

まとめ

新村上ファンドが最初に手がけたアコーディアゴルフは年単位で粘って、勝ちました。(絢さんはアコーディア攻めに途中から参加しているので、実質的な初陣は黒田攻略です。)資金源が身内なので、買い手がつくまで無限ナンピンできてしまう、という一面があります。そうなってくると、機関投資家の資金力、個人投資家の時間を使える最強集団だとも言えるでしょう。

その村上ファンドも弱点がないわけではなく、村上ファンドは一枚岩ではなく、内輪もめが多く、分裂を繰り返しています。元々、村上家は台湾系華僑であり、中華系にありがちな家族主義です。身内のミスはとことんかばいますが、他人が使えないと、あっさり切るので、喧嘩になります。だから、訴訟抱えたり、暴露されたりして、やられるときはもろいのではないかと思います。

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ニコ
6 years ago

就活のときに一度、独立系の電子商社の説明会に行ったことあります。
理系の会社で技術者で大人しいというよりガツガツしてる印象がありますね。
自社開発もあるらしいのですが、汎用機の半導体でした。技術力はあまり売りではない感じでしたね。

給料は良さそうですが、ついていけないと辛いかもしれないですね。

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