人生で切って離すことが出来ないのがお金であり、上手に付き合って行く必要があります。この辺を整理してみたいと思います。
稼ぐ
お金を稼ぐには三つの方法があり、時間を売る、技術を売る、お金に稼がせる、となります。一つ目はサラリーマン、フリーターなど、組織に所属し、雇用者の支配下に入り、時間を売ることで報酬が発生し、二つ目はフリーランスとして何かしら身につけた技術を必要とする人に売ることで報酬が発生し、三つ目は何かに資本を投下することで、お金がお金を稼いでもらいます。
完全にキレイに分かれているというわけでもなく、サラリーマンでも歩合制の高い職務なら、実質的に技術を売っているに近いです。不動産販売、外銀フロント、などがそれにあたり、売る、という技術を売って、お金に変え、売った額に応じて報酬が発生し、売らなきゃ、解雇になります。エンジニアリング会社の技術者もフリーランスに近い契約内容の人もいます。
何にしろ、自分が何をしてお金を稼いでいるのか?、を明確に理解しておく必要があり、リスク管理をしておかないと、自分の市場評価を見誤り、追い込まれる可能性があります。大企業所属のサラリーマンに多いですが、所属企業に対する評価を自分への評価だと捉えて、市場評価とかけ離れた自己評価をしていると、何らかの形でその企業にいられなくなると地獄です。どれだけ社内政治に長けていても、会社が存続できなければ、意味ないですから、会社の将来性もきちんと見極めるべきです。
だから、組織にアイデンティティなど持つな!、個の力を磨け!、孤独を恐れず、向き合え!、と言うのが、世界標準であり、組織にアイデンティティ、忠誠心を持ち、家族のように信じ込んでいる文化は日本独特で、終身雇用、年功序列が前提の文化なので、前提が崩れているのに、会社を信じ込んでいるのはかなり不思議です。盲目に信じ込んでいることって、精神的に楽だからなんでしょう。
サラリーマンやるなら、需要と供給のバランスがサラリーマンに有利になっている職を選ぶべきで、大学は特に強い希望がないなら、機電がいいし、AIに職を奪われにくい専攻に持って行くのがいいでしょう。そうすれば、組織に依存して時間を売る社畜にならずにすみ、自分の技術を売る社内フリーランス的なポジションに持っていけるし、市場価値を見極めながら、技術を磨けば、より良い条件で転職することも可能です。
貯める
お金は貯めるだけでは意味ないですが、ある一定額までは貯めなければ、何の意味もないです。お金は寂しがり屋、と言いますが、お金に働いて貰うにはまとまった種銭がないと勝負にならないです。宝くじが人気なのは種銭がほとんど要らず、一等が当選すれば、人生が変わるほどのお金を手にできるからで、まずは勝負する為に一千万円用意して下さい、と言っても、大抵の人はできません。
私は若い人にどうやったら、お金に働いてもらえるようになれますか?、と聞かれることがありますが、まずは貯金する習慣をつけること、貯金できる環境を整えることから始めて下さい、と答えています。年百万円も貯金するのはそんなに難しいことではなく、やることをやればできることです。それも出来ないなら、環境を変えるしかないです。それも出来ないなら、一生、お金に困る生活を送って貰うしかありません。
投資の前段階として、自分と向き合う必要があり、何が目的で、どこにいて、何を取捨選択し、投資まで持ち込むのか?、という戦略を練るなら、貯金が一番身近なトレーニングで、スポーツにおけるランニングみたいなもので、まともにランニングも出来ないのに、どんなスポーツもまともにプレイ出来るわけないのと同じです。
お金は多ければ、多いほど、人生の選択肢を増やしてくれますか、時間のように全ての人に等しく与えられているわけでなく、生まれながらに使い切れないほどお金を持っている人もいれば、借金抱えている人もいます。いずれの人もきちんと付き合い方を覚えないと、お金に振り回されるようになり、貯金の習慣を持つことは基礎トレーニングとして優れています。
投資
何かしらの方法で種銭を作り、何かしらの価値が変動する方に賭け、種銭をつぎ込んで、成果を得るのが投資です。本当にどんな方法でも良くて、種銭は借りてきてもいいし(信用取引)、価値が下がる方に賭ける(空売り)のもいいです。成果は細かく回数重ねてもいいし、大きくガツンと買ってもいいです。
種銭が増えてれば、何でもいいんです。起業、株式投資、先物投資、不動産投資、どれも同じです。投資って、すごくシンプルですが、誰にでもできることではなく、10年生き残れるのは1割もないと言われます。副業として、サラリーマンが株式投資なり、FXをする人は珍しくないですが、10年後にまともに利益を出せているのは1割もないのは同じです。
意識してない人は多いですが、マイホーム、教育も投資です。一般人にとって、人生の二大投資だと言っても差し支えないでしょう。種銭をつぎ込んで、それ以上の成果を得られないなら、それは趣味であって、投資にはなりません。マイホーム投資なら、賃貸契約を続けているより、リターンが多くないとする意味ないし、教育なら、学費、機会損失をその学位を取ることで、上回るリターンがないなら、意味ないです。他の投資をしない人も、この二つは避けられないので、しっかり考えて行動すべきです。
まとめ
こう考えると、単に時間をお金に変えているサラリーマンがいかに楽な存在なのか?、と理解できると思います。これからはともかく、今まではすでに軌道に乗っている大企業に就職すれば、10年生き残れるのはそう難しいわけではないです。特に日本企業なら、明らかに無能でも、解雇まではしないし、倒産することもそうはないです。だから、組織に依存し、社畜やっている人が多いのでしょう。
まず、お金と向き合うために自分が何をしているのか?、を理解すべきだし、自分の家計をしっかり把握して、貯金をして、勝負すべきとき、勝負できる環境にすることは人生で必須です。お金がなければ、衣食住が確保できないし、衣食足りて礼節を知る、と言うように、品性すら失います。時給の高い仕事を得たいなら、学校教育はほとんど必須です。ほとんどの人にとって、限られた資源であるお金とどうやって向き合うか?、は人生そのものとどうやって向き合うか?、とほぼ同意義だと言っていいのではないでしょうか?
[amazonjs asin=”B013HHSQ2G” locale=”JP” title=”お金をちゃんと考えることから逃げまわっていたぼくらへ (PHP文庫)”]
これからの時代は企業が無能正社員を養うほどの余裕がなくなり、週休3日制、年俸制等にして給料を下げる代わりに副業解禁という流れになると思います。そうすると、社労士とか中小企業診断士とかの士業とのハイブリッドサラリーマンが増えるのでは?と考えてます。シンさんはどうお考えですか?是非、記事を書いて下さい
リストラせず、固定費を下げたいなら、ワークシェアリングをすることになりますし、何らかの副業を持つのは一般化するかもしれませんね。何か記事にできないか?、を考えてみます。
シン
現在一人暮らしの国立大学の1年の者です。
裕福な学生も多い中、奨学金の借り入れやアルバイトで金銭的にあまり余裕がないためお金のことで悩み悲観的になっていたのですが、この記事を読んでハッとしました。
自分でも半年以上時間をかければ貯金はできるだろうとおもうので、そこからお金のなさを悲観するばかりでなく付き合い方を確立させていこうと思います。
持って生まれた違いを嘆くのは無駄です。少しでもできることを探すしかありません。学生でも毎月ほんの少し貯金をする意識を持てば、お金に対する意識が変わり、上手い使い方が徐々に確立されると思います。社会人になる頃にペースが定まっていれば、何にも考えず、あるだけ使って来た人より有利に過ごせるでしょう。
シン
耳の痛い話になりますが当たってますね。地方なので車での移動が必須なので家賃、車の固定費に悩まされてます。
なるべく、実家から食料を送ってもらい食費を削り、酒を飲まないなどいろいろ考えて節約してます。
あとはストレスですが、あまり節約も無理すると発狂して散財したり、健康に悪いのでバランスが大事です。
シンさんの金言は全国の小学生に伝えて欲しいですね。私も小学生の頃聞いていればと思うが、ヤッパリ切羽詰まらないと分からないかも知れません。
親は子供にもっとお金の教育をすべきだと思います。
シン
シンさん
シンさんはいろいろなテーマで、貯金の重要性を説明されています。
ところが日本人の貯蓄率は、2000年あたりから急激に低下し、先進国の中では最低レベルだということです。消費大国アメリカより、かなり低いです。その原因は以下のとおりだそうです。
① 高齢者世帯の割合が、急激に増えている。特に貯蓄をしっかりしていた団塊の世代が、年金生活と なっている。
② 20・30代は非正規雇用者の割合が高く、貯蓄ができない。
③ 40・50代は、収入の高低にかかわらず貯蓄なしの世帯の割合が高い。貯蓄どころか、60歳以 降も続くローンを抱えている場合が多い。
全体的に平均貯蓄額は上昇していますが、その中央値は下がっています。格差が大きくなっているということです。
いろいろな記事を拝見しましたが、①を最大の原因としている場合が多かったです。
①はどうすることもできません。②と③は、大きな問題です。このままの状態が続くのは、今後の日 本全体にとっても深刻な問題です。
②を改善するのは、今の状況では難しいと思います。ただ③については、消費行動を早めに見直していけ ば、何とかなった場合が多いのではないでしょうか。
かつては貯蓄大国日本と言われていましたが、③の状況を考えると、国民性自体が大きく変化している のでしょうか。
面白いテーマなので、ソースを貼ってもらえないでしょうか?日本人の貯蓄率がどのようにアメリカを下回っていくのかを時系列で追ってみたいです。
シン
シンさん
とりあげて頂き、ありがとうございます。
たくさん記事がありましたが、ほとんどが下記の記事が元になっていると思います。
https://allabout.co.jp/gm/gc/423678/
2000年からの低下が著しいですが、アメリカより低いとは驚きました。
http://stats.oecd.org/Index.aspx?QueryId=51648
日本だけソースが違ったので、すべてOECDデータから見たら、違う数字かもしれない、と思って、確認しましたが、ほとんど同じです。高度成長期に二桁だった貯蓄率が2000年を境にガツンと落ちて、13,14年に至ってはマイナスです。
傾向としては高福祉国家が貯蓄率が低めのようですが、スウェーデンは高いですし、兄弟国家と言っていい、オーストラリア、ニュージーランドもかなり違います。
どのくらいの精度があるデータなのかを検証するには時間がかかるので、これ以上は確認しませんが、国際機関が出している公式データで、過去、先進国他国と比べても、日本の貯蓄率が低下して、アメリカを下回っているのは衝撃です。
おそらく、人口ピラミッド、労働人口の構成の仕方が大きく影響していて、流入移民による若者人口が増えているオーストラリアは貯蓄率があがり、若者人口が流出するニュージーランドでは下がるのでしょう。老人は今までの蓄えを使うので、貯蓄はしません。
いずれにしても、日本人は相当まずいことになっていることを自覚しないと、本当に手がつけられなくなるのも時間の問題だと改めて思いました。
シン
シンさん
調べて頂き、ありがとうございます。
ある専門家は、2020年に貯蓄率がマイナスになると予想していましたが、はるかに早まりました。深刻化が加速しています。
貯蓄について調べていましたら、「収入格差より、貯蓄格差の方がはるかに大きい。」といった記事をいくつか見ました。詳しいデータを掲載し説明しています。端的に言うと、 「1~2%の富裕層が、アメリカの富を握っている。」これに近づきつつあるということです。
総中流と言われた日本も、このような国に変貌しているのでしょうか。
シンさんは「目指すところ」において、「入ったら、入っただけ使う」のがローアーミドルであると説明されています。日本人で一番多いであろうこの層が、特に自覚をもたなければならないと、理解してよろしいでしょうか。
そうです。
それなりに収入があっても、金銭感覚がローアーミドルの人っています。収入が増えたら、支出も増やして行くので、貯蓄し、お金に働いてもらうことは考えません。そうすると、何かしらの理由で、収入が下がると、支出は下げられず、地獄の苦しみを味わうことになります。
収入を増やす努力の前にローアーミドル根性を捨て去らないと、空いたグラスにいくら水を入れても、徒労に終わります。
シン
日本全体が徐々に貧乏になっていっているということでしょうね。
お金の使い方は自由なわけですから、死ぬまでにお金がゼロにならないようにすればよいわけで、
貯蓄はあろうがなかろうが、どちらでもよいのではと思ってしまいます。
定年後にお金が足りないのであれば、働けばよいわけです。
ただ、キリギリスのように使いまくって、困ったら生活保護でなんとかなるかなという人が、
大量に現れると社会保障が成り立たなくなるので、確かに深刻なことになりますね。
私は、老後にガツガツ働きたくないですし、子供に奨学金を背負わせたくないですし、
会社が突然倒産、解雇されたとしても、少し余裕を持って対処したいと思うので、
生活レベルを少し下げてでも貯蓄はしますね。
生活レベルを下げているといっても、すべての部屋にはエアコンがついてたり、
乾燥機付きの洗濯機や、ボタン一つでお風呂が沸いたり、一人一台携帯電話を持っていたりと、
私の幼少期の頃と比べて、とてつもなく贅沢な生活をしているのですけどね。
日本全体が徐々に貧乏になっているけれども、生活レベルを下げられない病気にでも掛かっているのでしょうかw
CIさん
コメントありがとうございます。
おっしゃるとおり、全体的に貧乏になっていると私も思います。
貯金に関する記事を調べていましたら、「高収入ほど老後貧乏」という記事をたくさん見ました。
現役時代にキリギリス的生活を続けていると、そう簡単に生活レベルを下げることはできません。
よって少ない年金では、貧乏となってしまいます。高収入の方々ですら、貧乏になってしまうのです。こんな状態ではおっしゃるとおり、本当に社会保障が成り立たなくなると思います。
さらに注目すべき記事は、「収入の高低より貯蓄が重要」です。「フローよりストック」と検索すると、たくさん出てきます。この記事は、「ぬるり的階級」や「目指すところ」でシンさんが説明されていることと、関係してきます。よろしければ、ご覧になって下さい。
収入格差はよく話題になりますが、今はそれより貯蓄格差の方がはるかに大きいそうです。収入が同じでも、貯蓄格差が大きくなっているとのことです。30・40代が格差が一番大きく、次が50代です。
日本人全体の貯蓄率は低下していますが、その格差はどんどん大きくなっているようです。
貯蓄が少なく、生活レベルを下げられないというのであれば、
今更貯蓄するというのは難しいと思いますので、
定年後もできるだけ長く働けるようにするのが、よいのではないかと思います。
健康に気を使ったり、定年後の再雇用制度を利用したり、これまでの経験を生かせる仕事を定年前から準備するなど、
現役を伸ばす努力をするべきではと思います。
定年後に働くことで、税収増となり社会保障費の負担軽減も期待できますね。
貯蓄格差が広がる要因として、資本収入の影響も考えられます。
トマ・ピケティさんが、労働収入の伸び率よりも、資本収入の伸び率の方が高いと述べていますが、
貯蓄を持つものが、株式や不動産などに投資し、資本収入を得ることにより、その差が広がります。
資本収入は、リスクを伴うものですので、労働収入の伸び率よりも高いのは当然と私は解釈しています。