株式投資について記事にしたので、不動産投資も記事にしたいと思います。
不動産
文字通り、動かすことができない資産なので、買った次の日に売る、というようなことはほぼ不可能です。登記など手続に費用がかかるだけでなく、手間もかかるので、最低でも一年は持っていないと、特殊なケースを除いて自動的に損になる可能性が高いです。これがメリットであり、デメリットとなります。
個人投資家がやらかす「コツコツドカン」は不動産投資ではあまりなく、上手くいっても、上手くいかなくても、一定期間は保持しなくてはならないので、小利、小損でジタバタせずにすみます。不動産の時価は実際に売ってみなきゃわからないので、スクリーンに映る値動きにドキドキハラハラしなくてすみます。
つまり、不動産というのはバイアンドホールド、でなので、長期的に見て、その国、土地の価値が上がると思うなら、持ち続ける、という類のものです。ちなみに世の金持ちで、不動産に全く縁がない人は少なく、純粋な起業家として、お金持ちになった人もいますが、事業の過程で得た土地が収益の柱になっていることも珍しくないです。
東京発祥の歴史の長い会社はその傾向が強く、元工場、倉庫をビルにして、そのワンフロアーに自社を置いて、他を他社に貸して、それだけで利益をきちんと出せれば、本業がダメすぎでない限りは苦しい時に耐えることができ、時間を稼ぐことができます。
例えば、ソニーは品川に工場があり、それを本社にして、更に売却しましたが、あれがなかったら、ソニーが復活するための資金繰りはかなり苦しくなったはずです。こういった例はいくつもあり、特に倉庫業は近年のタワマンブームにガツっと利益を出すことができました。
家賃
夢の不労所得、という言葉があるように大家として他人に不動産を貸して、家賃を受け取るのは庶民の夢だと思います。ただ、大家が楽だというのは大家になったことがない人であり、それほど楽なものではないです。やっかみを避けるために謙遜するのもあるでしょうが、大家やっていて、楽勝だ、という人はまずいません。
余剰資金を使って買っているなら、まだいいですが、借り入れで買っているなら、それは株で言うところの「信用取引」ですので、うまく収益が上がらないと、借金は減らないどころかどんどん増える可能性があります。収益物件が空室なら、金利を払い、固定資産税は取られ、持っているだけでマイナスです。
自宅のローンだって、借金をしている自覚のない人が多いですが、立派な借金であり、信用取引をしています。だから、銀行は借りる人を審査するし、借りられない人も出てくるわけです。住宅販売の一番の肝はローンを通すことだという人もいます。理想は一括現金での自宅購入ですが、それができる人はほとんどいませんので、銀行との付き合い方はきちんと考えて、対処すべきです。
株は権利という形のないものですが、不動産は実際に存在するものなので、物件が古くなり、資産価値が落ちると、自動的に家賃は下がるし、リフォームをしないと借り手が見つからなくなります。どの時点で投資を完全回収し、家賃がそのまま収益になるかの判断も難しいです。成長期を終えた日本で古くなっても、価値が上がる物件はごく珍しいです。
売却
売却益は英語でキャピタルゲイン、と言われる収入は1000万円で買ったアパートを2000万円で売ると、1000万がキャピタルゲインになります。家賃でローン、金利にプラスアルファの収益を得つつ、売却益まで来たら、まさに一石二鳥です。成長段階にある国、地域ではこういうことは珍しくないです。
多くの不動産投資家はこれを見込むんですが、日本でキャピタルゲインを狙うのはかなり難しく、首都圏、開発地域でもないと、ほぼ間違いなく、不動産価値は落ち続ける上、日本はデフレなので、インフレヘッジにもなりません。勝った時点でご祝儀価格が乗っているので、資産価値は購入価格を下回ることになります。
ここ10年くらいでシンガポールは不動産が高騰し、キャピタルゲインで財を成した人がたくさんいますが、これは日本でもバブル崩壊前は同じだし、世界中の金持ちは半分以上が不動産のキャピタルゲインを理由に金持ちになっています。シンガポール、香港はほぼ100%だといっていいですし、どの国も多かれ少なかれ同じです。
つまり、成長地域に不動産を買い、賃貸に出して、辛抱強く待ち、高騰してきたころに売却すれば、一財産作れますので、鎖国状態の国が開放政策をとると、都心部の土地が現地人の名義で外国人、外国資本に買い漁られることになり、一気に跳ね上げっていきます。近年だとミャンマーなんかは軍事政権の終了とともにシンガポール人が押し寄せて、不動産を買い漁っていました。
まとめ
私が不動産に手を出さない理由は日本は人口が減るので、買えば儲かるわけではなく、かなり美味しい物件が見つからないと、長期的に勝てる気がしませんし、借り手の権利が強すぎるので、物件が古くなって、立て直したくなっても、何から何までお膳立てして、出て行って頂くことになります。(シンガポールなら、契約書片手に叩き出せばいいです。)
利回りのいい地方都市は10年後に相場が壊れている可能性が高く、東京の人気地域はさほど利回りがいいわけでもありません。やるなら、シェアハウス、AirBnBに使う民泊用物件の購入がいいかもしれませんが、自分で管理、リフォームしないと、旨味はないので、面倒だな、と思います。
シンガポールはすでにバブルからの高止まりで、市場が小さいので、かなり注意しないと、凄まじい下げをするでしょう現金一括で買うなら、それもいいでしょうが、借り入れると、追証くらいかねません。(シンガポールの不動産は信用取引のように不動産の評価額が下がり、すでに払い込んだ額を超えると、追加で払う必要があります。)
また、手頃はワンルームとかはなく、2 bed-roomからのコンドミニアムになり、一件で億近い投資をすることになり、今から手を出すとなると、相当自信がないと、個人が手を出すのは危ないと思います。シンガポールではそれでも乗っかってくる個人投資家もいますが、長い好景気、短く終わったリーマンショックに感覚が麻痺しているのだろうと思います。
周辺諸国だと、バンコク、JBは明らかに供給過多、ホーチミン、ハノイはすでに高騰して高止まりしていますし、KL、ジャカルタは渋滞がひどく、かなりの都心でないと、インフラ整備の問題から投資の旨味は少ないと思います。ヤンゴンはまだまだ素人が手を出すとやけどをするでしょう。どれも食指が動きません。
アメリカにも興味がありましたが、アメリカ人はクレジットヒストリーがきちんとしている人はためらわず、自分で買ってしまうので、借りるのは属性の悪い人が多くなる傾向があり、賃貸市場が活発な大都市はすでに高止まりで、シンガポール以上の投資額になります。アジアから遠いので、自分、家族がアメリカに住んでいないと、管理が難しいです。管理会社に任せると、高額の管理費を取られます。
そういうわけで、チャンスがあるなら不動産を買いたいと思いつつ、実際の行動には至っていません。単に利回り、不動産に資産を分配したいなら、REITがありますし、自分、自分の会社名義で投資用に不動産を買う意味は何だろうか?、と思います。もちろん、旨味を感じれば、それが何であれ、手を出します。
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素晴らしい記事ありがとうございます。
毎日の生活に疲れ、ときどき楽して稼げないかな、と妄想してしまいますが、シンさんの記事を読み、現実に引き戻され、毎日元気に働いております。
ちなみに日本が江戸末期に開国したときにも、江戸や京都の中心地は外国資本に買われてしまったのでしょうか?
ロシアさん、
何しても楽に稼げることはないと思います。
帝国主義がまかり通った時代は不平等条約で搾取、植民地化のコンボで搾り取るので、わざわざ買うことはないと思います。
シン
持ち家orマンションを買うか、賃貸で過ごすか、というのは終わりのない議論のような気がします。
賃貸
メリット=住む場所や広さをフレキシブルに変えられる、新しい部屋に住める
デメリット=更新料がかかるのと、永遠に家賃を払い続けなければいけない
購入
メリット=払い終わったら家賃がかからない、売った場合にゲインが出ることがあるor賃貸より安上がり
デメリット=引っ越せない、周りの環境に左右される
マンション=土地が残らない、立地は一軒家より良い
一軒家=土地が残る、立地はマンションに劣る
うーん、難しいです。田舎なら購入の方が良さそうですが。
ちなみに車は、中古車を買って使い終わったら売るのがコスパとしては1番良いと思いますw
私は転居の予定がないなら自己使用目的の不動産を無理のない範囲内で買ってもいいと思います。転勤の可能性があったり、投資用なら、かなりよく考えるべきでしょう。
シン