シンガポールの教員についての記事を頼まれたので書きたいと思います。
採用
日本と同様に教育学部に行くのが近道ですが、他の学部から教師になることも可能です。それに対して「教職課程」を終了していることは条件ではありません。単に教育省の募集に対して応募、筆記、面接、採用通知を受け取り、それを受諾すればそれでお終いです。
日本ほど教員学部は大きくなく、マイナーな存在であり、ここに進んだら、ほぼ間違いなく教員になるといっていいだろうと思います。文系教員はあまり、理系教員は枯渇傾向なので、理系で教員になりたいなら、教育学部出身でなくとも比較的簡単になることができますし、外国人すら採用されます。
また、世界的に枯渇する英語ネイティブの確保にシンガポールはかなり悩んでおり、白人教師なら本国で関連学位、経験がない人でも雇っています。メインで英語圏育ちで燻っている中華系などを確保する戦略のようです。理系英語ネイティブはそのレベルは問わず、希少人材と言っていいと思います。世界中で奪い合いです。
さて、教員に採用されたら、数年の補助教員時代をすごして本採用になる、という流れですが、シンガポールでは教員に限らず、公務員を辞める人は少なくないので、雇用は流動的であり、学期の途中ですら、個人の都合で担任も変わるので、一般企業とさほど変わらない環境だろうと思います。
私立校というのが原則存在しないので、引き抜きということはなく、等しく教育省に雇われた公務員ですから、一般企業の異動、という意味で校長が欲しい教員を引っ張ってくることはあるんじゃないかと思います。
私が知る限りではシンガポールに教員免許なんてないし、そんなものを持っていても教員のよしあしには関係ないから、大学で理論的に教育学を専攻して現場に行くなり、資質があって志望している人間を採用して現場で何年か様子を見ればいい、というシンガポールらしい合理主義で対応してます。合わなければ、辞めさせればいいです。
待遇
シンガポールはここ10年くらいずっとバブル状態が続いているので、教員に限らず、公務員になること自体がそれほど難しいわけでなく、民間との給与格差から人材難に陥っています。政府も待遇を上げようと努力するものの、民間と給与で競争も出来てません。
教員の給与体系を詳しく知っているわけではないですが、他の公務員の事情から推測するに、需要と供給の関係であり、足りていない理系科目が担当できる人に高いオファーを出し、余っている文系科目は安くなる。英語力が大きなアドバンテージになる、という感じだろうと思います。
一般的に社会的地位は高いみたいで、校長人事が地元紙(ストレートタイムズ)で記事になっているので、国民も教員に対して尊敬心があるのだろうと思います。日本でもそうでしたが、やはり、「先生」と呼ばれる仕事ですし、自分の子供の将来に大きく影響するからでしょうね。
長期休暇中はほとんど休みになりますし、他の民間仕事に比べて強い精神的圧力、物理的圧力が教員にかかるわけでもなく、給与はそんなに良くないが、世間体も良いし、全般的に休みは長い、という仕事だと思われているように見受けられます。
指導
日本の教員がブラック労働を強いられていると言われますが、好景気に沸くシンガポールでブラック労働なんてものは存在しないので、教員も温い環境だと言っていいでしょう。元々、シンガポールの教員がやること自体が授業に限定されているので楽だと言えるでしょう。
例えば、日本では教員の手弁当で指導が行われる部活、というもの自体が存在しませんし、全般的に課外活動は教員の仕事ではありません。事務関係も事務員を雇っているので、教員はしないので授業後に自分で事務をすることもありません。
日本の教員が病んでくる大きな要因の一つである問題児、モンスターペアレンツの対処はシンガポールではきわめて簡単です。きちんと証拠を残して「嫌なら学校を止めろ!」と通告して終わりです。三回喰らったら、問答無用で退学になり、誰でも受け入れてくれる底辺校に転校することになり、学歴社会のシンガポールではほぼ人生終了です。
教育委員会に訴える、とか、人権団体に持ち込む、とかいう日本にある手法はシンガポールでは通用しません。政府は問題児、面倒な人間全般が嫌いなので、面倒な問題を持ち込まれても無視するどころか、あまりにもしつこく言ってきたら、裏から圧力がかけられるでしょう。だから、事を荒立てようとする人がほとんどいません。
まとめ
日本の教員って「聖職」であることが求められて、授業が終わっても子供の指導をしなければなりませんし、学期途中では辞められない、挙句の果てに、昔は長期休みは遊んでいるようなものだったのに、仕事の為の仕事みたいなことをさせられるようになってどんどんブラックになってきています。
教員の不祥事が取りざたされますが、これだけ旨みがなくなると、損得度外視で教育に賭ける熱い人、子供を性対象としてみているような変質者くらいしか教員をやっていられない、と言うことはあるのかもしれません。明らかに迷惑な子供を指導しようとしたら、逆に子供の人権がー、とか言われて、親からもトンチンカンなクレームを受けても、黙っていなければ成らないなら指導にならないです。
私個人の考えとしては、他人に迷惑になるような子供は退学させればいいし、そういう子供だけを集めた鑑別所みたいな学校にでも放り込めばいいです。それが嫌なら親元でニートでもすればいい、と思います。それがシンガポールでは当たり前に通じる考えなので、親子ともども、教員指導に食って掛かることがありません。
そこらじゅうに監視カメラのある国ですし、すでに教室にも監視カメラが着いているかもしれませんね。授業中に騒ぐ子供のせいで、他の子供が授業を受けられないなら、証拠を取って警告、警告しても改まらないなら、教員の責任はまったくないと思います。
日本で理系教員やろうとするのは馬鹿馬鹿しくなりますね。
昔、教育実習で叱られたのは良い授業やるより生活指導や舐められないようにクラスをまとめることだと言われました。
私の感覚では、シンガポールのような環境で教員なんか充分だと思います。
私の友人で大人しい性格の物理教師のために毎年二次試験の面接に受からないで非常勤講師をしてます。
日本のシステムでは良き授業をする、という教員の本来の仕事より、子供を押さえつける指導が重要視されるので、体育会系、元ヤンみたいな教員が重宝されますね。
職がなくなってきているんだから、棲み分けをして役割を分けても良いと思います。得意なことに集中して、みんなさっさと帰れば良いです。部活専任教員は朝練指導して家に帰り、昼間は家で休んで、昼過ぎに登校すれば良いと思いますね。大した学力もないんだから、授業を持たせる意味もないです。
シン
確かに、採用されやすい人はシンさんが指摘されるようなタイプと運動部の指導ができるタイプですね。
よく職員室で理系の大人しい先生が指導力がないと馬鹿にされてましたが、資格を取ることや試験が大変だから仕方ないのでは?と思います。
滅私奉公を期待されるとふざけるなと言いたくなります。(実際は事務的に
交渉しますが)
日本はつくづく経営側、支配側に都合良い社会ですね。
東日本震災で、防災無線をし続けて亡くなった若い女性を讃える調子の記事を以前見ましたが、嫌な気持ちになりました。婚約者もいる身で婚約者に対して無責任だと思いましたし、滅私奉公を求める日本の空気に殺されたんじゃないかとさえ思います。
高校野球も、日本軍隊の流れを汲んでるという人もいますし健全な印象がありません。
部活動は学校と切り離すべきですね。塾と同じように行きたい子だけ行けば良いです。
発達障害や不登校のケアは学校として大事だと思いますが、クスリやったり、狂人みたいに先生の胸ぐらを掴んだり、隣の中学でおきた先生を金属バットで殴ったりする人は別の施設で過ごすようにしたほうがいいですね。
それかシンさんの言う通り、親元でニートにして社会に出さないでおくのがいいです。
発達障害、不登校もそういう学校に行って貰えば良いと思いますね。なんで、一般教科の教員が家庭訪問なんてしなきゃならんの?と思いますよ。専門家に任せて、わかりやすい授業に心がけるのが仕事だと思います。
シン
シンガポールの学校って、管理教育や詰め込み教育ばかりやっているイメージですが、自由な校風の中等教育機関って存在するのでしょうか?
国自体が国民を規則で縛り、監視の目を光らせているようなところだと思いますので。
日本だと、自由な校風の学校があれば受験少年院もあり、荒れた学校やモンスターペアレンツの多い学校もあり、多様性に富んでいて一概にどうとは言えないと思います。
自由な校風の進学校で教える教師なんか、大学教員に似た待遇でのびのび教えており、プライドも維持されてとても楽しそうです。
校風はありますが、どこも似たようなものです。レベルは色々ありますか、総じて受験なことしか頭になく、部活だ、学祭だ、とか勉強以外のことを一生懸命する学校はありません。やるにしても受験を有利にするためのボランティア、入賞狙いの競技会です。それがシンガポールでは普通ですね。
シン
子供が受験を頑張るのはいいですが、結果は出ているのでしょうか?
PISAの学習到達度調査によると、確かに日本より得点が高いですが、部活をやらずに勉強漬けにしたらこれくらいはまあ行くよな、という程度のものだったはずです。
また、シンガポールの教育によって、天才が生まれているのかどうかも疑問です。
管理教育や詰め込み教育では天才が生まれない、というのは日本型教育に対して散々言われてきた批判であり、それは子供を受験に追い込んでいるシンガポールでも同じことが言えるはずです。
まあ、シンガポールでもインターナショナルスクールは違うかもしれませんが、インターナショナルスクールも問題は多いですしね。
まぁ、天才自体がそう簡単に出るものではなく、シンガポールみたいな小国に求めるのは困難というのはあります。ある意味、国父のリークワンユーが天才ですかね?
勉強漬けで過ごすシンガポール人はマニュアル人間だと言われており、何にでもマニュアルがないと行動できません。常にお金の話ばかりをしているので深みもなく、趣味もありふれたものばかりで、尖った人は少ないですね。そういう国で育って生活するので仕方ないと思います。
シン
予備校の生徒さんにいましたが、ADHDで学校の勉強はよくできるが社会不適応者みたいな人の扱いって苦労しますよね。普通は勉強さえできて大人しくしてたら先生はほかるので。
程度問題だと思いますが、そういう人も特別支援学校みたいなのが必要なのでしょうか?
底辺にとってはつめ込みの安心感はあるでしょう
はいあがれるチャンスいうか
まあ金持ちにはまけますがアメリカですが
やはり勉強して国立で保証された教育の質はあるべきだよなと
英語使えない状態の日本はある意味教育の仕方ほどほどに少なくともヒアリング重視されるのは悪化すると思います
【特集】”超多忙”「学校の先生」の1日
https://www.youtube.com/watch?v=3RXer99sWrg
一方で日本の教員の現場について取材した動画がありました。
最初出ていた先生は毎日夜中の1時半ごろまで授業の準備や仕事に明け暮れていて、食事も1分位でかきこんでいてとても多忙そうでしたが。紹介されていたような仕事内容を見ると・・・
・学校にいる間はほぼ自由時間がなく授業の準備をしている。
・昼休みは一分くらいで給食をかきこみ、生徒たちと一緒に遊んでいる。
・合間に職員会議や各種事務作業や修学旅行などイベントの準備など。
・登下校の見守り
・生徒一人にパソコン一台与えたICT教育
見事にこんなもん教師がすることか?コスパ考えたら必要か???としか思えないような内容ばかりで言い方きついですが、しんどいだけの自己満足の作業が多すぎやしませんか?という議論が必要に思いました。 動画の後の方で大学の教授が教員も民間並みにきちんと残業手当を出すべきでは?と言ってましたが、ハッキリ反対ですね。勿論部活動の引率や登下校の見守りなどは外注・保護者への理解を経て仕事を減らすべきと述べてましたが、かなり言葉を選んだ配慮したような感じであまり参考になりませんでした。
にしても学校の会議なんてほぼ無駄としか思えないですし、事務作業やPTA活動でするようなことは用務員・事務員を雇ってやるべきことでそこは予算使うべきですが、教員に残業手当出してやることではないでしょう?
登下校の見守りについても、シルバー人材などに弁当代など謝礼を渡してできないものか?と思います。
最悪なのが小学生の生徒一人ひとりにパソコンを与えてまで教育するって凄いコストかかりますが本当に必要なのか? 最初の導入のきっかけを与えることは大事ですし、興味・関心が強い子に伸ばす環境を与えることはより重要ですが、繋がってないように思います。
教師については仕事量が減って、シンガポールのように授業等本当にやるべきことに集中しやすい環境になるといいんですけど。