じゃあ、ギャンブラー

とても面白い本を読んだので紹介いたします。何の曇りもないエリートがギャンブルに身を焦がし、自分がオーナーを務める会社から横領をしたという事件です。まさに不可解でしかありません。

略歴

著者の井川意高氏は典型的なエリートです。上場企業創業者家庭に嫡男として産まれ、サクッと筑駒、東大法学部と進み、ろくに修行もせず実家に戻り経営者になったものの着実に成果を出し事業拡大に成功しました。見た目もダンディーですし、しっかり遊び、コンプなんて何もないんだろうと思います。

ちなみにアンチ作家が井川家は東大コンプで意高氏を相当追い込んで筑駒、東大にぶち込んだと書いてましたが、本人曰く、小学5年生で親の命令で騙し討ちで模試を受け、上位成績を取れたから筑駒を受けただけであり、飛行機で塾通いをしたなんてこともない、と言ってます。

実際、親、弟、息子娘は慶應文系であり、上流階級なんだからハッタリが効けば十分で技術がある人間は都度雇ってこれば良い、という考えだそうです。つまり、彼は自分が生まれ持った能力が高いんだと言いたいようです。

大王製紙はブラック企業として有名ですが、彼自身はサービス残業は悪であり、ゴールを持ち、課題に集中して仕事をして失敗するのはともかく、長時間労働で頑張ったから失敗しても仕方ないというような根性論は完全に否定してます。

事実、逮捕された後、彼の人格はともかく、仕事能力について非難する人は殆どいなかったようです。大王製紙のブラック体質は彼が、と言うよりも幹部が根性論を肯定していたのでしょう。まぁ、大王製紙のポジションが厳しいものという側面もありますね。

中毒

そんな彼はカジノにハマっていきます。若い頃からギャンブル好きだったわけでもなく、筑駒時代から麻雀は好きだったみたいですが、ある種の社交でしかなく、狂ったように雀荘で賭けていたわけでもないようです。

上場企業の創業家社長の立場、業界内での厳しい立場とストレスがカジノにのめり込ませた、ということは否定しています。それは夜遊びには当てはまるかもしれないが、カジノ狂いには当て嵌まらないと言い切っています。

単にギャンブル中毒はその要素を持った人間がキッカケで狂ってしまう病気であり、彼の立場が億単位動かせるものだったから100億円越えという異常な負けを作っただけで、庶民なら100万円、1000万円で破綻する限界までギャンブルをしてしまうことと同じということらしいです。

一部、カジノを裏金作りに使い、政治家への賄賂、ロビー活動に使っていた、という報道もありましたが、それはあり得ないだろうと思います。目的がギャンブル自体でないなら忙しい合間を縫って金曜の夜にマカオ、シンガポールに飛び、一睡もせずギャンブルして月曜の朝に戻ってくるというような気狂いスケジュールを毎週こなせませんよ。

私はギャンブルをしませんし、中毒と言えるようなものは何もありませんので理解できませんが、中毒とは脳に直接刺激を与えて、麻薬を投下し続ける為、通常の生活では考えられないような活動が可能になるのでしょうね。ゲーム中毒も寝落ちというように体力の限界までやるらしいですしね。

交友

井川氏が恵まれていたのは地獄に落ちても助けてくれる家族、友人がいたことでしょう。配偶者とは離婚しているみたいですが、妻子のために離婚したのか、家庭を省みないために愛想を尽かされたのか、はわかりません。

ちなみに彼は自己破産してません。井川家の私有財産を整理して横領金額を大王製紙に返しています。その意味では執行猶予なしの実刑は妥当だったのか、と疑問を持ちます。ホリエモン、村上氏と同様に感情的な判決だったなぁと思いますね。

家族も理解があり、大損害を与えたにも関わらず、親、弟とも良好な関係を維持しているようです。家族の私有財産に100億円穴開けても見放されず、情けをかけて貰えるのだから頭が上がらないと思いますよ。

友人に出所祝いも盛大にしてもらってますし、親友はこの本の後書きを書いています。良かった時期に媚を売ってきた連中は捻挫を心配するくらい強烈に掌を返したみたいですが、堕ちても変わらずに付き合ってくれる友達は何者にも変えがたいものです。

芸能人との付き合いも書いています。セクシー女優を多数輩出するアイドルグループは未成年にも関わらず、金持ちが集まるバーに現れ、性をばら撒いていたとぶちまけてますが、まぁ、そうだろう?wと思います。

資本主義である以上、お金こそが力であり、力ある男に若く美しい女性が靡くのは人間界の摂理です。スタートアップを成功させた起業家、メジャースポーツ選手に芸能人女性が食らいつくもの当然ですね。

意外にも義理堅いホリエモンについてもコメントしており、すごく親しいわけではないが、自分が留置所でしてもらって嬉しかったこと、堅い床用に分厚い座布団、寒さ対策に厚手の半纏を井川氏に送ったそうです。

まとめ

別世界のエリートが転落する自分を書いた本という意味では価値があると思います。(ゴーストライターが書いているでしょうがw)自分が恵まれてないから間違いを犯すのではなく、どんな立場でも油断、素質によって間違いを犯すので、自制が必要だということを教えてくれます。

オススメ度は5/5です。特に知識、経験がなくとも理解できます。誰もが多かれ少なかれ持っている自滅に導く破滅的要素を見つめ直すことが出来ると思います。

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