じゃあ、通訳と弁護士

ふと思ったんですが、通訳と弁護士って似ているなって思いました。

通訳

その言語に商売的、政治的に需要があり、供給が少なければ、そこの間を介することが出来れば、大きなサービス料が発生します。例えば、幕末にTOEIC600くらいの英語力を持った人がいたら、メチャクチャ重宝したと思います。オランダ語通辞を使って、更に英語にしていたくらい通じていなかったんだから、ちょっとでも通じやすくなるなら、巨額報酬でオファーが来たでしょう。

時代は流れて今現在、TOEIC600くらいの英語力持っていても、それ自体を評価する組織、人はいません。技術革新で一定レベルまでの英語習得はどんどん簡単になっていき、半年もあれば、誰だってその程度の英語力は身につくのでスキルとして認められないからです。そして、自動翻訳もどんどん正確になってきているので大まかな話はそれでやり取りできるようになりました。

今後はよほど特殊なことでないなら、英語通訳、翻訳で生計を立てるのは無理であり、今から若い人が敢えて目指すものでもないです。あくまでマイクロオフィスツールを使えるようにするのと同じ程度の誰もが身につけておくべき教養であって、それそのものを専門としても何の意味もないことです。そりゃ、マクロを使えたほうがいいですが、使えなくても支障はありません。必要なら誰かに頼めばいいです。

これについては特に異論がある人は居ないでしょうし、ココナラを見てもらえばわかりますが、英語関連のサービスは呆れるような投売りで溢れかえっており、苦労して身につけた英語力に見合った報酬を受け取るのはまず無理に成っています。

わざわざ通訳、翻訳なんて頼まなくても、自分でやればいいんですよ。正式な契約書でもないなら、グーグル様に任せてしまえばいいです。専門家に頼まないとダメな内容なんてそんなに多いことではありません。事情をよく知らない他人に頼むより、自分のことなら自分でブロークンイングリッシュであっても伝えたほうが通じます。

弁護士

弁護士って独占業務が多くて、資格保持者以外が手をつけると非弁法に引っかかるため、実務が出来る、出来ないは別にして弁護士に任せるしかない、ということは少なくないです。そのため、供給が絞れている時代は弁護士として判子押すだけでサービスチャージを取れたわけです。

それが、稀代の改悪、ロースクールシステム導入によって弁護士の供給過多に陥ると、単に弁護士になっただけで食っていくことが出来なくなります。単に弁護士の判子が必要なだけの簡単な仕事は誰でもしたいので、奪い合いになり、弁護士判子代の投売りになってしまうわけです。

一流弁護士は特に問題なく、大手弁護士事務所が手がける、大企業向けの渉外案件の需要はなくならないし、その手の案件は刻々と状況が変わっていく厳しいものなので、サービスチャージも下がらないし、チームで対応しなければならないので飢えるころはありません。

でも、二流、三流弁護士はサラ金の過払い訴訟みたいなショボイ仕事を必死になって喰らいついて、嘘、大げさな宣伝で処罰を受けるような弁護士事務所が登場したのは当たり前といえば、当たり前で枯れた漁場を弁護士同士、司法書士と入り乱れて争奪戦になったのだから熾烈です。

一般庶民に先生、先生と言われてふんぞり返っていられた時代はとっくに終わって、弁護士なんて二流、三流は学資ローンがあるのに、大した稼ぎもないワープアどもwという世間の評価がついてしまうと、ハッタリを武器にしている弁護士としては非常に苦しいんですよね。

新需要

二流、三流の弁護士はかつては弁護士がしなかった新しい需要を開拓して、個人相手の商売をしなければ成らないのですが、司法試験の受験科目に「派遣法」もなければ、「インターネット関連法」もないので、実務に合わないことばかりを勉強してきているわけです。

ブラック企業からサービス残業を取り返して手数料をとる、といった一般個人にニーズがありそうなことはよく知らないし、体系的に勉強していません。でも、未払い賃金訴訟は証拠さえあれば、比較的楽にこなせるのでいいため、過払い訴訟が終わると、これを軸にして飯の種を確保しようとする動きは明らかです。

ネット関連で生き残りを図ろうと積極攻勢に出たはいいけど、グダグダにして依頼者を守れないどころか、余計に炎上させた弁護士がいたみたいに、前例がほとんどないのでメチャクチャになります。裁判は判例主義なので、過去の事例がないことを争うのは相当難しいです。

ネット上の中傷に対して管理者に発信者情報開示請求をしてIPを特定したら、次はプロバイダーにその時間のIP使用者を開示させる必要があり、一定期間を過ぎていればログが残っているかも謎です。そうやって手間暇かけて発信者を特定しても、それをどういう形で訴訟に持ち込んでいいのか皆目検討もつかないわけです。

仮に民事訴訟に持ち込んだところで、無数にいる加害者の誰を訴えるべきなのかも困りますし、せいぜい罵詈雑言くらいで損害賠償をしても、まったくコストに見合わない額しか取れません。せいぜい10万円も取れればいいし、2-3万円くらいにしかならないこともざらです。そうなると、着手金の方が賠償額より明らかに高いこともありえます。

だから、その手の弁護士は損得度外視した企業からの依頼で動くしかなく、個人からは仕事を請けるべきではありません。余計恨まれる結果になります。その企業にとって勝利条件はネット上の悪評を消す、悪評を広めている中心人物を黙らせる、ということでないとダメです。その手のネット広告はすごく増えたので、ここも未払い賃金と同様にホットスポットです。

本人

法整備もしっかりしていないネット関連のゴタゴタなら、弁護士を使わずに本人がやればいいし、そういう実体験はいくらでもネットに落ちているようになったので、どんどん本人訴訟をする人が増えているといいます。大して知識もない他人である弁護士に頼むなら、自分自身で理論武装して戦ったほうが勝てるし、安くつく、という考えが徐々に広がっているのでしょう。

ここで重要なのは一にも二にも証拠であり、証拠の積み上げの結果がすべてです。だから、訴えるつもりなら、何をするのにもしっかりと証拠を残します。どんなに凄腕弁護士を雇っても、勝てるだけの証拠がないと逆に自分がしゃぶられることになります。(凄腕は特殊なケース以外で個人から仕事を請けませんけど。)

今後、裁判、訴訟記録の巨大なプラットフォームができて、多少の利用料金を払えば自分に近い事例を見つけることが出来るなら、裁判を自分でやってもいいし、自分のことなら非弁法には引っかかりません。逆になんで自分でやらないの?と言いたくなりますね。

個人的なことであるなら、どのくらいの英語力を持っているかもわからないフリーランスの通訳に任せるより、自分でブロークンで相手に話した方がいい、というパターンとまったく同じ話になります。

訴訟の個人案件は小額なので、弁護士は真面目にやってくれるかすら怪しいですし、事務員が定型フォーマットに必要事項を入れて、弁護士の判子で相手に送るだけでお金を取られ、裁判に発展して、もめれば、もめるほど、「弁護士から」奪われることになるでしょう。

まとめ

弁護士なんて時間の問題で、通訳と同様にごく一部のエリート、特殊なこと以外は必要ない人になるでしょう。若い人が敢えて目指すものではないし、どうしても目指したいなら、予備試験を突破して司法試験に合格してください、と言いたいです。であるなら、大手渉外事務所に入れるので努力に見合った報酬が受けられるでしょう。

何度も言いますが、ロースクールを作って若者に現実味のない甘い夢を見させ、お金を時間を奪い取った人たちには怒りを覚えますね。そういう甘い話に乗ったバカな若者の自己責任でもありますが、国の政策でやったことですし、誰が責任を取るんだ!と言いたくなります。好き勝手に英語だけを勉強して、専門を磨かず、単純通訳、翻訳でワープアしている人とは意味が違いますね。

9+

投稿者: シン

思いついたことを記事にして、コメントをもらって、議論するのが楽しくてブログをやっています。

「じゃあ、通訳と弁護士」への11件のフィードバック

  1. 本当に、職業の価値って需給関係によって違ってくるもんですね。
    僕らが大学を卒業する40数年前は、弁護士とか公認会計士は難関資格(今でも難関資格に変わりないと思いますが、その割に稼げなくコスパ悪すぎです。)で、文系エリートだったですけどね。
    時代は変わるもんですね。今からはもっと変わるスピードが速くなるんでしょうね。
    通訳も、今みたいに英語をペラペラ話す人は少なく、英語が堪能というだけで、職はあったと思います。あっという間にペラペラ話す人が増えてきましたね。
    AIの登場で、シンさんの言われるように定型的に処理ができる銀行員とか保険の営業とか窓口の業務とか普通の営業とかも、なくなるときはあっという間になくなっていくでしょうね。企業の管理部門なんかもなくなっていくでしょう。
    公務員の窓口業務なんかも正にAIで処理できることだと思いますが、ここは組合が阻止するんでしょうか。でも時代には逆らえないでしょうね。
    今からを生きていく人は、AIに侵食されにくい職場で、自分に合ったものを専攻していくように考えるべきなんでしょうね。

    3+

    1. >今からを生きていく人は、AIに侵食されにくい職場で、自分に合ったものを専攻していくように考えるべきなんでしょうね。

      若い人はどんなことなら、自分の味が出せるか?と意識して勉強するべきだと思います。

      シン

      1+

  2. 私の会社の正社員の特許翻訳の担当者の英語力なんですが、英語で夢が見られることと技術内容が理解でき、日本語が日本人として問題ないレベルの人なので才能の世界になりますね。
    感覚としてクリスハートさんの日本語力と音楽としての才能があるみたいな感じです。
    ポンコツの私でもGoogle翻訳、図面と簡単な英文を読むくらいで仕事できてしまうので英語だけじゃダメなんだろうなと思います。

    1+

    1. 求められていることの難易度と報酬が合わないのは需給のバランスが悪い、と言うことになりますね。損得度外視で好きならともかく、真剣に英語なんてやるものではありません。

      シン

      1+

  3. 教育機関も必要な物に注力しないと全く意味の無い事に時間とお金を浪費してしまいます。義務教育の中身から大きく変えないと此れから社会を担う若者には酷な時代ですね。

    0

    1. 今までは「大人」の言うことを聞いて目の前のことにさえ集中しておけば、なんとなく生きてこれたんですけど、すでにそれでは梯子はずされる、と言うことだろうと思います。若者には辛い時代ではありますが、逆にオンラインさえ利用すれば、かなりのことがタダ、タダ同然で出来るので、格差は広がるのだろうと思います。

      シン

      2+

  4. 大きな流れはその通りで、障子の桟の埃ではありますが、本人訴訟が増えると裁判所は嫌がるでしょうね。
    マトモな文章を書ける人ばかりではないですから、ヘンなのが増えた日には負担も増えて大変ですw
    それから、マトモな人達に、大きな事件以外は裁判は結構いい加減、という事がバレて、弁護士に続いて裁判所の権威が失墜していくのも厭うでしょうね。

    0

    1. 文章も訴訟用に組み立ててくれるAIが現れると思いますよ。定型フォーマットがあるので組み合わせで対応できます。それどころか法廷戦略を助言してくれそうです。

      裁判官の権威失落はありそうですね。小さな案件に投げやりなのは弁護士の話だけではないです。

      シン

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  5. 弁護士みたいな手数料ビジネスで飯食ってる場合希少性がモノを言うので供給過多になれば、料金を下げるか今までにない新しいサ―ビスを生み出して顧客を集めないといけないので大変でしょうね。

    以前、裁判の流れ等を勉強したくて試しに弁護士事務所に民事の依頼をしたことがあります。
    その時の教訓じゃないですけど、優秀な弁護士というのは『ウチは勝訴100%』とか謳ってる弁護士では決してなく。
    例えば、現状揃ってる証拠ではあなたが勝訴できる確率は40%ぐらいです。ただ、他にこういった証拠を出してもらえば勝訴する可能性が60%に上がります。
    といったように現状分析が客観的にできて、的確で精度の高いアドバイスができる弁護士が優秀だと思いますね。

    ちなみに前者の弁護士は勝てる見込みの高い依頼しか受け付けないので人気も高く依頼料も高め設定ですが、後者の弁護士は面倒見が良く負け戦にも乗ってくれる傾向にありますね。

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    1. 弁護士を神聖化しても、彼らは単なる自営業なので儲かる話には食いついても、儲からない話には投げやりになります。その中でも正直な商売する人と、不正直な商売をする人がいるので出来るだけ前者を選ぶ努力がいりますね。いずれにしても関わらない方がいいと思います。本人訴訟でやれるなら、自分でやるだし、自分でやりたくないから諦めた方がいいでしょう。本人訴訟のレベルでないなら、自分が弁護士を査定するつもりで相談に行った方がいいですね。

      シン

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      1. 儲からない事案で親身になって欲しい場合は、その事案をライフワークにしている弁護士を探すと良いですよ。

        0

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