じゃあ、研究、開発、設計

機電お仕事シリーズが大好きな読者さんからリスエストを貰いました。広く開発といっても、主に三工程に分かれています。

研究

学術機関だけではなく、民間企業にも研究を主にする人もいます。もちろん、営利団体が採算度外視では出来ませんが、基礎研究は将来への投資であり、余剰資金を将来性のありそうなスタートアップに放り込む、というような類のものだと思って下さい。大化けするか、無駄金になるか、どちらかになります。

例えば、EV用電池研究は各社が行なっており、トヨタ、パナソニックは研究所を持ったり、合弁会社設立をしたりして、今すぐというより、将来を見据えた研究をしています。上手く行ったら、デファクトスタンダードを取れるので、ジャカジャカ利益を生むドル箱になります。こういうのも開発といえば開発です。

多くが博士、最低でも修士を持っている人が研究を担当するので、これがしたい人はガッツリと学校で勉強する必要があります。アカポスみたいなものなので、向き不向きがハッキリと出ますし、出世出来るポジションでもないです。淡々と好きなことをしたい人向きですね。

田中耕一さんみたいにノーベル賞を取れば役員になれるかもしれませんが、彼が島津製作所で研究していたことが受賞理由になったわけではなく、大学生の頃にやっていたことが回り回る形で受賞理由になっているので、昔に買って、放置していた株が忘れた頃に爆上げして、証券会社から連絡が来て気がついた、くらいの幸運だと思います。

開発

さて、多くの開発は具体的な製品を量産化する為に取り組む仕事です。これは必ずしも博士持ち、修士持ちである必要もなく、ホンダでは高卒の叩き上げが務めることもあるそうです。コンセプト、デザインなんかを立案するので、学力よりもセンスが必要な仕事でしょう。

材料、完成品、部品など、多種多様な開発がありますが、コンセプトの段階で煮詰まっていることはないので、色んなアイディアを試しながら量産化に向けて取り組みます。前に記事にした評価は主に開発のアイディアを実際に試験して評価する部門だと言っていいでしょう。

メーカーエンジニアの花形と言っていい部署で、サラリーマンだけど、開発者として個人名が轟いている人もいますね。個人レベルでは開発なんて出来るものではなく、組織に所属するか、大きなプロジェクトを立ち上げて出資者を募るしか、こういう仕事を出来ませんね。

青色発光ダイオードの中村修二さんは開発者だと言っていいと思います。彼のノーベル賞受賞も例外的で、本来は基礎研究をする研究者に与えられるものなので、量産化に成功したエンジニアが受賞したのは青色発光ダイオードの量産化が世の中に与えた影響が大きかった、と言えるでしょう。

設計

開発で量産化が可能だと判断されたものを設計に起こしこんでいくことになります。部品メーカーなら、部品としてのコンセプトは完成しても、それを顧客要望に合わせて設計していく必要があります。すでにルールの決まったものを実物に落とし込んでいくことになりますね。

B2Bだと、設計が一番多くなります。自社で製品開発するよりも、顧客開発品、顧客指示で製品に落とし込んでいくことの方が多くなるので、設計は顧客、現場を繋ぐ役割も果たすことになり、客先との関係を密にする為にレジデンスエンジニアとして客先常駐する人もいますね。

エンジニアの仕事としては設計が最も板挟みになりやすいのかもしれません。社内だけではなく、外部の顧客ともやり取りするので、問題を起こせば厳しくどやされますし、開発段階で無理があったのに、現場で不具合を出したりすると、設計に突き上げが来るので、トラブルが起こると胃が痛いだろうと思います。

逆に言えば、どこにでも顔を出せるので、意欲のある人には良い仕事だと思います。研究所はともかく、社内外の開発、現場にはしょっちゅう行くことになるので、まさにものづくりに携わっていると実感できるでしょうし、なんでもわかる人にもなり得ます。

まとめ

と言うわけで、簡単にメーカーがどんな流れで新しいモノを作っていくのか、を簡単に記しました。ハードはウォーターフローなので上から順番に流れて来ますし、ソフトでアジャイル開発を採用しても、大まかな流れは変わりません。研究、開発、設計、現場、となりますね。

仮にモノをつくるなら、自分が何に向いているか?を考えてみると良いと思います。同じく機電の仕事とは言っても、割と違うことをしているので、部署が違うとやることも違うので、向き不向きが出ますね。

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投稿者: シン

思いついたことを記事にして、コメントをもらって、議論するのが楽しくてブログをやっています。

「じゃあ、研究、開発、設計」への15件のフィードバック

  1. リクエストありがとうございました。
    これで機電のお仕事シリーズを完結できました。
    具体的な機電のメリットが伝わるとうれしいです。

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    1. こちらこそありがとうございました。

      細かい話は別にして、大まかな機電の仕事は記事になったと思うので、大学生、高校生がイメージしやすくなり、将来像を思い描く助けになるといいなと思います。

      シン

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      1. 研究開発に関わっている人は労働人口の数%で、日常生活で関わる事が少ないため、あまり理解されていないと思います。特に、サラリーマン研究者は、大学での研究でも関わることもないので、あるとすれば、就活時の研究室の先輩くらいです。
        とはいえ、サラリーマン研究者の私もそれ程多くの方と関わっている訳ではなく、社内での体感での話になりますが、何か質問が頂ければなと思います。
        内容を書き出すときりがないので、思いつきで、Q&A方式にします。
        (研究と開発はあまり明確にわかれていない事も多いので、研究開発として考えて下さい。)
        ①具体的に何をやってるの?→言えません(笑)
        ②給料は?→会社によりますが、製造部門より出世が遅い傾向にあります。
        ③やりがいは?→(良い研究テーマであれば)あります。
        ④必要なスキルは?→理解力と問題解決力とセンスと経験だと思っています。
        ⑤どうなればなれる?→まずは会社に入って配属希望を出して、あとは運次第です。
        ⑥学歴は必要?→個人的に必要ないと思いますが、現実は高学歴の方だらけです。
        ⑦公的研究機関と企業研究の違いは?→公的な研究機関はやはり大学のイメージに近いです。企業の場合、お客さんとやりとりが多い点や、製品に近いとい点が違うところです。
        ⑧研究テーマの選び方は?→基本的にお客さんのニーズに答えるため研究します。

        ここまで、書いて何が大事かとふと考えると、やはり経験かなと思いました。研究者になるような人は頭で考えてしまいまいがちですが、やはり、自分でものを触って実験をするのは本当に大事なことです。学生時代の実験もとても大事な経験です。可能なら、いろいろな研究室へ行って首を突っ込むのがいいと思います。

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        1. 研究と開発、開発と設計って、明確な線引きがなく、組織によって線引きが違いますね。それを言い出すと、設計、生産技術、生産管理、技能職も曖昧であり、一連の流れで仕事をしているので、ぶつ切りにはなりません。部署ごとの力関係で仕事、責任の押し付け合いはよくあることです。

          そういう意味でインターンシップって、本当に重要なんでしょうし、やりたい事がボヤけているなら、一度就職してみて、必要だと感じたことをやる為に修士、博士を取りに大学に戻ると、自分の理想に近い方向に行きやすいだろうと思います。だから、理系なら修士は当たり前、という風潮には疑問を感じます。他人に流されて、なんとなく学生期間を長くしてどうするの?と聞きたくなります。それこそ、別記事で議論している、それは「投資」なの?という話です。

          シン

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          1. >だから、理系なら修士は当たり前、という風潮には疑問を感じます。
            理系修士進学が当たり前(進学率8割以上)なのは、上位国立大・私大なので、彼らが研究職につきたいのであれば、悪くはない選択肢ですね。
            上位国立大・私大のマスター以上であれば、事実上の研究開発職にはつけますので。
            ただ、研究開発を必ずしたいというわけでないのなら、学部卒就職もありかなとは思います。

            実際、マスター進学を前提に研究をしないと、本格的な研究活動はできないので、向き不向きを知るという点で修士進学は悪くないと思います。
            企業に就職したとしても、自分の配属希望が通って、研究職につけるとも限らないわけですから。

            >一度就職してみて、必要だと感じたことをやる為に修士、博士を取りに大学に戻ると、自分の理想に近い方向に行きやすいだろうと思います。
            必要なときに必要な学位・能力を得るために大学を利用するというのが理想なのですが、今の日本社会では、会社員をやめて、大学院で教育を受け直すと、もはや帰る受け皿がないもの事実でして、悩ましいところではあります。
            もうすこし、就業形態がフレキシブルになれば、動きやすいんですがね・・・
            社会人ドクターという手もあるのですが、論文博士の制度を引きずっているようなところがあり、一種のディプロマミルと化している面があるので、あまりお勧めできないですね。

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          2. はっきりと研究職がしたいと言い切れるなら、修士に進むべきですし、この分野で博士をとることがプラスになると信じられるなら進めばいいです。そうじゃないなら、単なる危険な投資です。

            >もうすこし、就業形態がフレキシブルになれば、動きやすいんですがね・・・

            日本にもっと雇用の流動性があり、転職、出戻りが一般化すれば、やりたいことをしっかりとやってみるリスクが小さくなると思うんですよね。

            シン

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          3. >>一度就職してみて、必要だと感じたことをやる為に修士、博士を取りに大学に戻ると、自分の理想に近い方向に行きやすいだろうと思います。だから、理系なら修士は当たり前、という風潮には疑問を感じます。他人に流されて、なんとなく学生期間を長くしてどうするの?と聞きたくなります。
            →日本に限った話ではないのかもしれませんが、修士課程の活動の10%~20%ほどを教授の研究補助や学界の資料準備に費やすのって、いただけないと思います。学生はお金を払って学びに来ているのに学生を都合よく下働きさせる風潮に疑問を感じました。これなら就職して仕事をしながら実務や付随知識を学んだ方が良いように思います。
            社会人の立場で自分の身銭を切って学費を出して学ぶ風潮が一般化すれば、学生を小間使いに利用する悪習も絶たれて行くでしょう。

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          4. >修士課程の活動の10%~20%ほどを教授の研究補助や学界の資料準備に費やすのって、いただけないと思います。

            お金をもらっている博士はともかく、修士でそういう雑務を行う人を日本以外で見たことはないです。あるのかもしれませんが、権利意識の強い人たちは大学の運営に猛烈抗議すると思いますね。せいぜい、本人にとって明らかにプラスになる手伝いくらいは無給だと思いますが、強制は無理だと思います。

            シン

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  2. >理系なら修士は当たり前、という風潮
    会社に入ってから、あの科目をもっと勉強しておけば良かったと思う人は多いと思います。
    入社後何年か経てば、専門の方向も決まってくるので、社会人博士をとるのもありだと思いますし、会社にも理解されつつあります。会社の立場としては、博士をとるとヘッドハンティングされる事を恐れているようですが、単純に給料を上げて、引き止めればいいだけではと思います。目的なく修士に行くよりは、一般的ではないですが、社会人修士というのもありだと思います。(会社からどう見られるかはわかりませんが。)

    それにしても、この記事に対してコメントが少ないのはさみしいです。
    単純に関係者が少ない、興味がないのでしょうか。
    企業研究者なんていらないとう意見でも良いのですが

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    1. 私も同じことを思いました。
      なんとなくわかるのですが、エンジニア派遣とかを除いて、研究開発、設計は優秀な人材しかプロパー社員は配置してない印象があります。
      私は、中堅私大のために最初の配属は生産技術です。

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    2. >博士をとるとヘッドハンティングされる事を恐れているようですが、単純に給料を上げて、引き止めればいいだけではと思います。
      企業には、取得した学位、専攻で給料に差をつけてほしいですね、正直なところ。
      社会的に需要のある分野で博士号を取得して、就活をしても、単に5年間就業した事務系と同じ給与形態では、やる気がでないです。
      華為が新卒に40万を提示した話ではないですが、優秀な科学者・技術者が日本企業を選ばなくなる時代が既に来ていると感じざるを得ません・・・

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      1. 最近の学位インフレが激しいので、博士をとっても関連職歴の5年分くらいしか評価されないのは定番化していますが、さすがに文系と同じにされて、同じテーブルで提示されたら嫌気がさして日本企業なんて行きたくなくなるのは当たり前で、ある程度力のあるエンジニアで日本に好意を持っている人は実態を知っていれば、「日本企業w、????w、行くわけないじゃん?www」という反応をしますね。

        シン

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    3. エンさん

      そうですねえ、この一寸先が見えない社会状況で、つぶしの効かない正社員研究員を
      雇っておくのはリスクなので、オープンイノベーションなど委託や外注すれば良いと思います。
      Uber Xのドライバー同様、能力高い博士はその方が所得が増えるでしょう。

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  3. エンジニア派遣の業界でも研究はなかなかないけど、設計は募集してますね。
    しかも、腕があってCATIAができれば派遣先を追い出されても引く手あまたです。
    ただし、人を選ぶというか能力が必要なのと責任が重いのでできるできないがありますね。

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  4. りおさん
    >つぶしの効かない正社員研究員
    最近では、会社から見ても、研究者としての能力の低い無駄に給料の高い50代前後の正社員研究員の扱いに困っているように思います。それにも関わらず、従来通りの給与、勤務体系のままで、変わる気配は今のところないです。

    そもそも、同じ会社にいるというだけで営業もエンジニアも似たような給与、体系になっているのは、柔軟性がなさすぎると思います。意見がいくつか出ていますが、エンジニアの流動性を高まれば良い方向に向かうと考えています。理想でいうと、正社員研究者であっても、短期契約で、給料が高いという、選択ができる仕組みがあればと思います。

    今のところ、エンジニアとしてできること、必要なことは下記のような事だと思っています。
    ①技術力→技術力があってもそれを評価できる人がいないのが課題です。
    ②英語→言わずもがなだと思います。英語ができれば、海外で働ける人も大勢いるのではないでしょうか。会社としてはそれに付け込んでどうせ英語ができないから人材は流出しないと考えているのではないでしょうか。
    ③特許→いくら技術があるといっても、サラリーマンエンジニアの場合、対外的に能力を示す事ができるのは基本的には特許くらいです。特許を書いていれば、ライバル企業からお声がかかるという話も聞いた事があります。ただ、特許の内容そのものは個人でなく、法改正によって会社のものになってしまったので、書く意味がないと思ってしまいますが、それでも書くしかないかなと思います。
    ④交渉力→他の会社でも働ける能力をつける事ができれば、あとは会社に強気で、他社に行きますけどどうします?と言って交渉するだけです。

    書くのは簡単で、そんな事わかっているという人もいるのでしょうが、やらない限り何も変わらないのでしょう。青色LEDの頃にも、日本人エンジニアの不遇は話題になっていましたが、未だに変わっていない(どころか特許の権利に関しては悪化している。)ように思います。日本人なので日本で働きたい気持ちはありますが、さすがにあほらしいです。繰り返しになりますが、できることは実力をつけて、国内外問わず、でていくという事だと思います。(自分ができていればかっこいいですが、できていないので説得力がないですね。)

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