金融記事を書いてなかったので、書きたいと思います。
都銀
かつて、日本は都銀を二桁以上持っており、乱立していましたが、外資勢に押されて、統合が必要となり、バタバタと減っていき、今は実質3行まで減りました。みずほ、三菱東京UFJ、三井住友までが都銀、りそなは都銀とするかは微妙なところです。
これは世界的に当たり前で、あれだけ広大な領土を持つアメリカでも、シティ、チェイスの2行しか全国区の銀行はありませんし、ドイツはドイチェ、ドリスナーに集約されています。やっていることが全く違うわけではないので、沢山あっても仕方ありません。
彼らはある意味で半国営企業みたいなところがあり、倒産されると困るので、経営危機になると、「公的資金」と名前を変えた税金投入をされて、強引にでも存続されます。リーマンショック時にはシティがアメリカ政府の強い意志で助けられましたし、今もドイチェがドイツ政府が必死になっています。
自己責任で博打に手を出して、勝ったら豪遊、負けたら税金投入しているのは酷いとしか言えませんが、放置できないのです。シンガポールでもリーマンショック前の外銀はバックオフィスにすら大盤振る舞いしてましたよ。そんな仕事にこんなに出すの?っていつも思っていたら、この始末です。
地銀
元々、地場産業を助ける為に地元の名士が設立した銀行で徐々に役割を終えつつあります。特に第二地銀と言われる弱小地銀は青色吐息で、統廃合を繰り返して集約して行くしかないでしょう。
地場産業の強い横浜、千葉、京都なんかは優良顧客を多数抱えているので、財務状態はいいですし、スルガなんかは先進的な経営で他の地銀を出し抜いていますので、暫くは危機に陥ることはないと思います。
アメリカ、ドイツにも日本ほど多くはないにしろ、地銀はありますので、何かしらの特色を持って、他の金融機関と戦えば、存続は可能だろうと思います。そのいい例をスルガ銀行が示しています。
信金
地銀よりさらに小さい信金は完全に存在意義を失っていて、いっそ、国の主導で潰してしまう方がいいだろうと思います。カブ、チャリで顧客訪問して、手書きで書類書いて、間違いを直しに、また、訪問する、とかしている人たちです。
こんなことしている先進国の金融機関って私は知りませんし、完全に昭和の風景じゃないか?、と思います。高度経済成長期に感じの良いお兄さんが専業主婦の話を聞きながら、積み立てを受け取りに行く、と言うような、三丁目の夕陽です。
他にしたいことがあるなら、早めに転職した方がいいと思いますよ。誰がどう考えても、将来性はないので、定年が見えている人はともかく、これから何十年働かないとダメな人は信金では逃げ切るのは無理でしょう。
ネット
そして、登場したのはネット銀行で、実店舗を持たないので、固定費が格段に安く、有利な条件提示が可能です。お金はお金なので、都銀から借りるお金、ネット銀行から借りるお金に違いがあるわけではありません。
多くの企業が参入し、乱立状態になっていますが、あまりコストがかからないので、リスクがほとんどなく、自社商品をバックアップする銀行としてやっていればいいので、相乗効果が期待できます。
セブン銀行なんて、セブンイレブンにATMを置いて、他の銀行から手数料を取っていれば、店舗への集客力も得られるので、損をすることが一切ありません。こういうビジネスは死角がありません。少なくともリテール営業では無敵です。
まとめ
これが銀行で、証券会社は別になります。欧米では都銀が大きな投資銀行部門を持っていますが、日本では始まったばかりで、従来の証券会社、総合商社の方が積極的に投資銀行業務をしているように見受けられます。
本来、産業の潤滑油として発展してきた銀行が積極的なギャンブルをするようになり、モラルハザードを起こしているが、倒産した場合の影響が大きすぎて、国が助ける必要があります。
勝ったら、巨額報酬、負けたら、税金投入のギャンブルは酷すぎるので、リーマンショック以降は制限されるようになりましたが、完全になくなったわけでなく、あの手この手でギャンブルに手を出そうとしているのが欧米銀行です。
その点で邦銀は投資銀行業務に弱かったせいもあり、リーマンショックの焦げ付きが軽微ですみました。保守的、遅れた金融システム開発が幸いしたと言えるでしょう。
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地銀に勤めてる知り合いが、この業界もあとどれくらい持つかわからないな。と言ってましたね。
私は、銀行員ではないのでわかりませんが、少なくとも貯金のために簡単にお金を下ろせないようにしてある口座以外は銀行には行きません。ATMでお金下ろせるし、通帳もATMで作れるので対面ではほとんど行きません。たまに行くと私の預金で投資の話をしてくるので鬱陶しいです。
もう地銀、信金は打つ手がなくなりつつあるので、よほど考えないと、経営が持たないでしょうねぇ。
シン
都銀の命運すら、仮想通貨の利用者が激増してもブロックチェーン技術が綻びないという信用が形成されるまででそう長く持たないのでは。起源からして胡散臭い通貨発行体のゆる過ぎる規律により破綻しかけた運用が、やっと民主化されるのです。
仮想通貨の話は記事にしますよ。信用、という問題なら、USD、大手銀行ですら、かなり毀損しているのは事実で、溢れ出したお金が比較的信用出来そうな商品に向かう、という状態なので、近い将来、状態が一変してもおかしくない、と思います。
シン
在外邦人としては、サービスが手厚い現地地銀の場合はありがたいです。非英語圏ですが日本人が多い都市なので日本デスクがありますし、現地都銀に比べて対応も早くATM設置場所もはるかに多いです。インターネットバンキングも充実していて、今までまったくトラブルなく使えています。駐在先の会社にあまり迷惑をかけずに銀行関係を自分でさくっと処理できるのは色々と楽です。地銀もこういう特色や付加価値があれば良いのかなと思います。
ここまで書いてふと疑問なのですが、海外である程度貯まった現地通貨はどう扱うのが良いのかなと思いました。主要通貨ですし、今後何年かしてもし帰国となった場合であっても、現地銀行に口座を維持できるならば保険として外貨でまとまったお金を持っておくのもありなのかなと思いました。シンガポールだと皆さんどうなんでしょうか?
欧州情報ありがとうございます。
シンガポールは準英語圏なので、ジャパンデスクがなくても、片言の英語で生活に必要なことは全部できますが、ジャパンデスクはたくさんあります。割高でも会社が払ってくれるなら、日本人に全部任せて仕舞えばいいいいと思います。個人的には富裕層日本人の節税目的など、日本の事情を知ってない担当者でないと、意味ない場合を除けば、必要ないと思います。
帰任者は投資に興味ない人はレートのいい両替屋で日本円に変えて、ハンドキャリーで持って帰り、興味のある人はそのまま残しているようです。日本の投資環境も変わって、変える金融商品に大差がなくなったので、万が一のリスクヘッジにしかならなくなりました。シンガポールでは非居住者の口座保持に制限はありません。
シン
大都市の市民から見ればその通り。
地方の中小企業目線で見ればたぶん見方が変わる。
地方の中小企業は結構信金、地銀に依存しているので
そもそもそんな地方の中小企業が今後生き残れるのかという問題はあるけど
タメ口でコメントするのをやめて下さい。まともに議論する気がなくなります。
シン
記事にして頂いてありがとうございます。
リーマンのときのダメージの違いは、日本⇔外資との報酬体系の違いも大きいと考えます。
どんなに稼いでも報酬がたいして変わらない日本ではリスクをとる行動はあまりメリットがありません。
個人的にはこの報酬制度も日本企業の強みだと考えております。(カルロス・ゴーンが10億円要求しても、文句を言う人がいないですが、日本の大手金融機関の「日本人」の役員報酬がそのレベルに達すれば必ず世間からの批判を受けます。)
したがって、日本の大手金融機関の経営陣はそつがなくこなすことにまい進することとなり、ばくちを打って痛んだ外資をうまく拾えるというポジティブストーリーを妄想しております。
(実際、MUFGはモルガンを拾えましたし。トランプ→博打復活→痛む→民間で救済しろという圧力→邦銀出資という次の流れを期待します。)
邦銀、外銀の違いは報酬の違い、と言うのはあると思います。外銀は目先の利益を追求して、巨額報酬を狙い続け、その結果がリーマンショックとなりました。モルガンのように邦銀が拾い物を出来る展開になるといいな、と思います。ドイチェとか拾えないでしょうか? ドイツが総力を挙げて、許しはしないでしょうけどねw
シン
正直邦銀が外銀を拾ったとしても、経営に口出ししない受動的な大株主として出資する程度でないと、買収先を扱いきれず人材が即流出して金のかかる社内インフラだけが抜け殻として残される意味のない買収になると思います。邦銀が柱とする融資業務は金融緩和で資金がだぶついている中差別化も困難で、限界まで金利とフィーを削る消耗戦となり儲かりません。更に画一された融資分野は審査業務がAIに取って代わられつつあり、新興のフィンテックの金融会社が更に低コストを実現して大銀行を脅かす兆候さえ出てきています。
利幅が比較的厚いのはいわゆる投資銀行業務と呼ばれるような資本市場での事業ですが、主な収益源となるのはフロント職でフィーを稼いでくる「人材」ですので、外銀を買収しても人材が残らない限り増収を享受できません。イメージとしては、一流弁護士事務所を買収しても所属するスター弁護士に皆辞められてしまっては意味無いのと同じという感じでしょうか。欧米投資銀行で働くような人達は当然要求する給与水準は破格でブランド意識も強く、逃げ足の速い肉食獣のようなもので、有能な人は競合他社やヘッドハンターからもよく知られており頻繁に声がかかるので、突然格下の邦銀などに買収されれば特別な理由がない限り競合他社に速やかに移籍することとなります。こうなると多くの場合、顧客企業も一緒に逃げていきます。
野村のリーマン買収が良い例で、野村のブランドに統合しようとしたものの企業文化が違うため元リーマン社員との連携・統合がうまくいかず、更に給与体系の格差から野村側からは不満が噴出、一方で稼ぎ頭である元リーマンのフロント社員を引き止めるため、救済された側であるにもかかわらず向こう数年の巨額報酬を保証するなど、どちらが強い立場なのかわからないような状況が続きました。そうまでして引き留めた人材は保証期間満了のボーナスをもらったらあっさりと他社に移り、野村には高コスト体質のバックオフィスと長期契約が残っている各地拠点の高額オフィス賃料負担が残されました。野村の元リーマン欧州・アジア部門は買収後暫くはディールのリーグテーブル上位に顔を出したりしてそれなりに頑張っていたようですが、それでも赤字が続き株主からの圧力に耐えられなくなった後は事業の縮小撤退が相次ぎ、結局数千億を払って買収したリーマンの欧州・アジア部門は業績にまともに貢献することなく瓦解してうやむやになった様な感じです。
MUFGのモルスタへの出資が比較的上手く行ったのは、主導権はモルスタ側が握りMUFG側は比較的大人しくしてる様な形にしたからではないでしょうか。2009年の発表時はMUFG側がモルスタと統合される日本法人の出資比率の6割を握ると報道されましたが、最終的にはモルスタ側がしれっと51%を握る形に落ち着いています(笑
ドイチェの投資銀行業務は急激に縮小・撤退を続けており、買収先としてあまり意味のある相手先とも思えません。欧州銀行は軒並み投資銀行業務を縮小させており、この分野は欧米というよりも米銀の独壇場となりつつあるようです。
とにかくにも近代の銀行制度や金融の各種規制って欧米が発端なので、日本がいくら背伸びしてもシステムの後進性、ルール作りに参画できない時点で買収しても何しても勝ち目はないと考えます。1990年代初頭は邦銀が資金力で欧米のグローバル金融機関を圧倒していましたが、BIS規制による自己資本比率の下限値が規定されて、独壇場から引きずり出されました。
結局、ルールを決めているのがアングロサクソンなので、一時的に優位に立っても、ルールを変えられて、ひっくり返されるんですよね。
シン
非常に貴重な意見です。
投資銀行業務が個人事業者の集まりのようなフロントセールスでなりなっているので、入れ物だけ買っても、意味がない、と言うことですね。
スター選手がFAでいなくなった前年度のメジャー球団が最下位に沈むみたいなもので、アングロサクソン流の契約に慣れてないと、単なる入れ物だけを高額で買わされることになります。日本流との差はあまりにも大きいので、アングロサクソンに任せておく方が無難なのでしょう。同根の欧州人すら、そうするように見受けられます。
シン
シンさんのおっしゃる通りスルガ銀行は、いち早くドリームダイレクトといったネットバンキングや、預貯金に応じて宝くじが貰えたり先進的な取組をしてる銀行だと思いますが、住宅ローンは他行と比較して圧倒的に高金利だったので、お金を借りようと思った時には使うことは躊躇してしまいました。