メーカーには評価をすることを仕事にする人たちがいます。その人たちを記事にしてほしいと依頼されました。
開発
何かを研究開発しても、それを実証する人が必要です。評価する人たちはそこまで知識は必要ないので、言われた作業を繰り返して、一定回数の再現性があれば、それを開発成果とする、という風にやるわけです。
なんでもそうですが、統計的にこれだけのサンプルがあり、その結果がこのレンジに入っているなら、こういう条件下では実地仕様に耐えられる、という実験をしてからしか使われることはありません。そうじゃないと怖いですからね。
特に自動車のように過酷な環境下で使う機器は評価を徹底的にしないと、リコールになり、製造者責任をガツンと負わされるので、非常に重要なプロセスです。最悪は会社が潰れるほどの賠償金を負わされます。タカタがそうでしたね?
リケジョの星だったO女史が転落したのは研究成果を再現できなかったからです。再現実験してO女史が指し示す条件で再現出来て初めて成果と言えるわけで、そうじゃないなら、いくらでも適当なことを言えてしまいます。再現実験はテニュア持っている人が指示して研究助手がします。
彼女の分野は人の命に直結するので厳しいですが、そうじゃない分野だと、先人が残した再現出来ない、嘘データ、メチャクチャなデータに研究者が苦しむことは割とある話で、予算がなくてきちんと評価してないとか、ともかく数字を作るために数字を偽装していることはザラです。
設計
設計っていうと、機電系学位を持った専門職みたいですけど、設計補助みたいな人もいますね。すでに構造計算がしてあり、他の部品、部位に干渉しないか?だけを延々と評価していく人もいて、そういう人はCADが動かせれば問題ないです。
たまに文系だとか、高卒のおばちゃんが設計やっていることがありますが、これって、設計補助職だからで、ある程度のセンスがあれば、高度な数学、物理が理解できている必要がないので、出来てしまうのです。
この補助作業は徐々にAIが担当するようになりつつあります。単に周りの部品に干渉しないように線を繋げていくとかなら、一定のルールに沿ってやるだけなので、人間がしなくてもいいのかもしれません。にしても、最終チェックは人間がするとは思います。
検査
開発フェーズを終えて、量産に入っても、毎日、毎月、と決められたサイクルで初回ロットを検査する人がいて、一定回数を試してから本格的に製造することになります。これはある種の技能員、というポジションで作業員とエンジニアの中間みたいな感じですね。
日本企業が誇った品質はこの検査がしっかりしていたことにあり、年功序列、終身雇用が支えた熟練検査員が不良を止めていたんですが、その人たちが派遣、請負になっていくことでどんどんレベルが下がっていきました。
デジタル化の時代だと、検査も精密機械がやるようになり、熟練工でなくとも出来る時代になりました。でも、日本企業は設備を入れるのが嫌いで、人にやらせることが好きなので、非正規雇用がやるんです。先進国としては珍しいです。
コストが合うなら、設備投資、人のどちらが検査してもいいですが、今の日本はどちらでもないので、メイドインジャパンの質が下がりまくっている、ということです。まあ、年功序列が確保できないなら、設備投資、管理体制の強化をするしかないんですけどね。
まとめ
アイディアの段階だと素晴らしいものでも、実際には出来ないことはザラにあり、きちんと検証しないと量産に入った時に地獄を見ることになります。金型製作、ライン設計をした後にデザインを変えることになると、すべてがメチャクチャになり、地獄を見ることになります。そういうことがないようにするのが評価です。
AIだとか、センサーだとかが徐々に浸透するでしょうけど、無人ラインはそう簡単に一般化しないでしょう。無人ラインに取り組んでいたテスラ、マスク氏は人間の作業を舐めていた、と白旗をあげましたし、技能員はそう簡単にはいなくならないのかな?と思います。
リクエストありがとうございます。
機電を選択するといいってのは、いろんな層でも仕事があるからだと思います。
機電であれば設計開発や生産技術をやれればいいのですが、悪い意味ではなくて能力的に無理そうな人でも仕事がありますね。
うちの会社では、準技術者というポジションで評価を担当する人になります。
ありがとうございました。そうだと思います。
裾野が広いので、何かしらの仕事はあり、そう簡単にはAIに食われないだろうと思います。特殊なものを除いてAIに食われることが確定してしまった事務職と比べると、まだまだ食える職種だな、と思います。
シン
シンさん
派遣会社の営業さんと打ち合わせをしたことがあり、設計で派遣して貢献できるのがいいのですが中にはついていけなくて派遣先を追い出されてしまう人や落ちこぼれて請負職場でイジメられる人もいて、その社員の救済で新車のテストコースの運転やエンジンの耐久テストなどの評価の仕事が欲しいと言われたことがあります。
プロパーもそうですが、正社員だと能力不足で解雇できないのと特定派遣だと待機社員の人件費がかさむのが嫌なんだと思いますね。
こういった機電の良さを広められるといいですね。
大したスキルはなくとも、最低限の基礎があれば、評価はできるので、エンジニアとして落ちこぼれた人の受け皿にもなりえますね。やらせる方も流石に文系にはさせたくないので、機電学位を持っている人を選びますから、多少の差別化も出来ますしね。
シン
機電の専攻を持っておくと、食べるのに困らないのは理解しています。
ですが機電関係で就職した人の勤務地がとても気になります。
この「評価員」は工場勤務でしょうし、多くの機電(工場)は田舎勤務になるのではないでしょうか?
東京勤務に比べて、人生の楽しみが半減しているような気がします。子の代でも、都市部と田舎では可能性や自由度が全く違います。
この問題に対する答えは、IT関係なら都市部・田舎にしか工場をおけない企業などに行っても仕方ない、でしょうか。ITならともかく、生産系の技術職にいくなら、都市勤務は諦めなければいけないのでは?というのが私の見解です。
都市勤務にこだわるなら、情報系に行った方がいいと思います。評価アシスタント的な立場は情報系にもあります。生産系を選択するなら、元から都市生活に拘りのない人、むしろ、嫌いな人の方が良いと思います。
東京勤務に拘る人って、東京以外を見下して、地方勤務を罰ゲームみたいに言う人がいますが、妬みでなく東京が嫌な人は少なくないです。特に年取ってからの転勤で東京に行った人が帰りたくて、帰りたくて、ずっと上司にグチってる人はざらにいます。流石にろくに産業もない地方から動かないのは将来困るでしょうが、都市圏の中核都市くらいならそっちの方が好ましい人もいますしね。
機電系でも就職の段階で情報系職場を選べますし、自分のしたいことを明確にしておいた方が良いと思います。何よりも東京勤務であることを優先させる人が生産系を選択すると、どんな優良企業でもすぐに嫌になるでしょう。
転勤も同じですけど、転勤が嫌な人がメガバンク、総合商社に入るな!っと言うことで、業務内容は好きでも鬱になる可能性がありますね。
シン
シンさん
そうですよね、生産系にいくなら、良くても横浜近辺のような気がします。
都会より田舎のほうが合っている人がいるのはわかります。
しかし地元でもない田舎にいくなんて人生の無駄遣いだと思いますね。昔からの友人もいないだろうし、誰か知人が来ることも少ない。人生もっと楽しく過ごせただろうにもったいない、と思っちゃいます。異性関係も地味になりそうです。なので機電から生産系の会社にいくのは、生きていくには効率的でいいかもしれませんが人生を豊かにするには?マークがつきますね。
地方都市なら、まだ理解できます。
私も地元でもない田舎町に住む気持ちは全く理解出来ません。トヨタ系なんかだと、ブランドと安定に惹かれて縁もゆかりもない人で愛知県に引っ越す人がいますが、本当に良いのか聞きたくなります。排他的な土地柄で知られてますし、メンタルやられる人も少なくないと思います。上手く愛知県で地元出身のパートナーが出来て、その土地の人になっていくならともかく、そうでもない人には人生の無駄遣いだと思います。
シン
機電学位で都心勤務を希望するなら、CAEとか制御関連ですかねー。
シミュレーションエンジニアで大手企業の一次受けのニッチなエンジニアリング会社って結構ありますね。
あとは、知財部、特許事務所、公務員ですかね、都心勤務が可能なのは。
機電系でも、都心に残ろうと思えば、むしろ文系より好待遇で残れる感じしますけどね。
東京出身、都内の大学卒ですが、東京から出たくないというよりは、地元から出る気もなかったので、上記の業界で食べてます。
機電系は、生産技術みたいな現場職から、私みたいに一日中、計算機の前で仕事するタイプまで、幅広い職種を選べるのが魅力ですね。
綿苗さん
知財部勤務の私です。
設計と生産技術で使えない人になってますが、会社の人が語学で有名な大学を出ていることややる気がないわけではなかったので文系に近い知財部に異動で駅前の勤務になりました。
ほんとに機電はいろんな仕事があるんだなと改めて思いました。
綿苗さん
情報ありがとうございます。
技術があるのとないのとでは、選ばれやすくなりますね。
機電系で就職する場合、配属の部署は選べるんですか?もちろん、会社にもよるのでしょうが。
文系の場合、最初の就職が狭き門ですが、そこを乗り越えてうまいことキャリアをつめば、都心勤務でキラキラ系で働けるのでは、と思いますね。
そこを乗り越えられなかった場合は技術もないし悲惨なことになるので、セーフティネットとして機電や情報を選択する、というのは理にかなってます。
一言に文系といっても、就職した後のキャリアを積めた文系・積めなかった文系で大きく変わってきますね。積めた文系はけっこういい待遇のイメージです。全体の10%くらいですかね?w
>文系の場合、最初の就職が狭き門ですが、そこを乗り越えてうまいことキャリアをつめば、都心勤務でキラキラ系で働けるのでは、と思いますね。
金融がAIに陥落している、大手メーカーが文系採用を抑えてきているので、大手マスコミ、広告に入れば、というところです。はあちゅうさんほどの知名度があっても、東京勤務希望は通らず、名古屋にいたくらいだし、綺麗な東大卒が自殺するくらいなので、バブル時代のテレビドラマに出てくるようなキラキラした生活をできる文系は1%以下だと思いますよ。次に経済危機になる頃には地獄のような文系切りが行われるでしょう。
シン
>機電系で就職する場合、配属の部署は選べるんですか?もちろん、会社にもよるのでしょうが。
大手企業の場合、博士号持ち新卒一括採用の枠外での採用とかでないと配属の希望は通りにくいようですね。
まあでも、これは技術系、事務系問わず、日本企業の慣習なので、無意味だとしても、一労働者からすると変革しようがないことですね。
理系で都心勤務に拘るなら、大手企業よりも技術的にしっかりした都心のニッチ企業を考えるべきですね。
シミュレーション工学(CAE)、知財法務関係であれば、工場等生産設備が不要ですので、必然的に都心勤務が可能になります。
かなりニッチな業界なのでキラキラ(笑)してるかどうかは知りませんが、自動車産業等の日本の基幹産業が崩壊しない限り仕事があるので、単なるSIerよりは安定性、将来性はありそうです。
綿苗さん
重ねてありがとうございました。
転職活動では、勤務地や職種をきちんと選べますが、新卒ではできませんもんね。
配属された部署でその後の人生が決まってしまうことを考えるとギャンブル的な要素があり、できれば排除していきたいですね。
シンさん
1%まで少ないですかね?w
キラキラ系は馬鹿にされますが、恋愛市場では強いので、人生を優位にできる要素だなーと思います
>1%まで少ないですかね?w キラキラ系は馬鹿にされますが、恋愛市場では強いので、人生を優位にできる要素だなーと思います
レッドオーシャンで勝つのは1%だとは言いますね。勝たないまでもなんとかやっているくらいならもう少しいると思います。恋愛ということなら堅実であるより、チャラチャラしていて危険なにおいがするほうが評価されますね。
シン
仕事の強度は
開発研究➡設計➡生産技術➡評価だと思います。
レベルの低い大学だから仕事がないわけではないですね。
設計できないで評価しかできないのは馬鹿だとか言ってたオッサンいましたが、化学メーカーに多い研究開発型の会社だと新卒は旧帝大理系や推薦しか応募を受け付けないとかになるとみなさん困りますね。
こんにちは。
自動車部品メーカーで働いていたことがあります。そこでは実験部という部署がありました。元開発・設計の人が配置転換されることが多かったです。稀に品証や生技からの転属もありました。新卒を実験に配属することはほぼありませんでした。派遣社員の比率が他部署に比べて高かったです。
製品がスペックを満たしているかどうか、耐久試験などの決まった検証を淡々とやっていくんだという姿勢で、社内でも特に残業の少ない部署という印象でした、羨ましかったです。彼らの顧客は社内の開発・品証なので、外部と対峙しないためか、切羽詰まってないというか、殿様商売というか、顧客志向に乏しい印象がありました。”ここで品質を守るんだ、我々が最前線で歯止めになるんだ”というような意識はなかったようにおもいます。” 次工程の自動車メーカーで車両実験するんだし、何か問題があればそこで見つかるでしょ?”と考えていたのかもしれません。
>金型製作、ライン設計をした後にデザインを変えることになると、すべてがメチャクチャになり、地獄を見る
これはよく分かります。
量産に入っていると基本的にラインを止めることが出来ないので、(自動車工場などの)ラインにはりついて”選別”作業をすることになります。人海戦術で24時間、NG品を除外したり、手直し後にラインへ投入したりと大変です。暫定対策品を納入できるようになるまで延々と続きますのでお金の流出がやばいですし、その間の品質は落ちてしまいがちです。この段階では開発、生産技術と品質管理がデスマーチに陥る感じでした。
恒久対策で金型を変えるとなると死ねますね。試作品作って部品単体としての実験検証をしないといけませんし、その後、実車に載せての実験検証もあります。試作品でOKでも、量産品ではどうなるか分からないので、量産体制を仮で作って、また部品単体検証、実車検証です。しかもロット内でのバラツキ、ロット間でのバラツキも見定める必要があるのでN数を確保するのに結構時間をくいます。チャンピオンデータを根拠に恒久対策はできないので‥。
他車種の通常開発で実験部の機材や、自動車メーカーのテストコースはほぼうまっていますので、そこに無理矢理ねじ込んで実験検証しないといけません。
で、ここで実験部へ陳情にうかがうのですが、、、、、なかなか”うん”と言ってくれません。
開発やら品証やら生技は”我々は休み返上で対応してるのに、なんで実験部は協力してくれないんだ”と憤り、
実験部は”そもそも開発段階できちんとスペックを詰めきれてないのが悪いんだろ”と憤る、
開発やプロジェクト担当者は”そうはいっても開発期間も短いし、予算もないから、そんなに実験検証に割くリソースがなかったんだし、しかたないだろ?”と泣きだし、人が潰れていきます。
こんな感じで部署間の仲は良くなかったです。
ようやく恒久対策のゴーサインが出ても、既存のラインを動かしながら、新しいラインへ変更しないといけないので、ほんとに地獄ですね。
しかも、この間にNG品が搭載された車や、暫定対策品が搭載された車は市場に何万台も出ていってしまっているので、これらの監視もしないといけませんし(ワランティという部署が対応)、場合によってはサービスキャンペーンを打って部品の載せ換え、もしくはリコールです。
ニート主夫さん
確かに新卒採用で評価を採用してますアピールの会社は見たことないですね。
なにか資格がないとできない実験でない限りあまり積極的に募集してないですね。
私も会社に入って評価の仕事があることを知りました。
私も少し評価の仕事をやっていて面白くてやりがいはあったのですが付加価値が低い仕事なのかすぐに異動でした。
詳しく実例を出してもらいありがとうございます。学生、まったく業界違いの人に参考になったと思います。一口に機電と言っても色々ありますからね。
シン
ITエンジニアにもテスターと呼ばれる評価をやる人がいると聞いたことあります。
かりりん先生に詳しく聞いてみたいものです。
他の記事を含めていろいろコメントを見るとぬるりのみなさんって優秀な方が多いなと思います。
設計や開発で働き続けるのはそれなりに能力が高くないといけないなと思ってます。時間をかければや誤魔化しが効きにくい仕事だとも思っているのでやっていけるのは凄いです。
特にYさんのコメント見ると私が技術にいたころに言われたことと被ります。
じゃなければ、こんな記事依頼しないのですけど。
○勤務地に関して
・化学メーカーで機電系であれば、地方の工場勤務の可能性が高いです。地方といっても、都市部に近いかどうかで、生活の質が大きく変わります。個人的には、都市部にすむこと自体、贅沢なことだと感じています。地方に住んでいても、生きていくことは可能です。
問題としては、若い技術系の社員に出会いがなくなかなか結婚できないことだと思います。
○AIとロボット
・マスコミではやたら、AIとかロボットが話題ですが、単なる話題作りのように感じます。ロボットがあれば何でも作れると、現場を知らなければ思うのかもしれませんが、人間の手作業でもロボット以上の部分も多くあります。日本人は、職人的な人が多いので、高精度な製品では、世界中のメーカーを支えています。
○IT
・日本ではものづくりの部分では、世界に通用するところはありますが、IT分野では、言うまでもないかもしれませんが、圧倒的に弱いです。そういった分野で、これから生き残るには、なかなか大変だと思います。
評価のデメリットは、キャリアや経験として扱われにくいことかなと思います。
実験は、プロジェクトがなくなると設計や生産技術のように経験を活かせる場所が少ないことだと思います。
私の会社でも、設計や生産技術がプロジェクト終了後も別の設計の仕事に異動する、生産技術なら別の工場にいくとかあるのですが、評価だと女性なら設計補助の仕事に配属したりしてなんとかなるのですが男性だと次の配属が決まらないことや管理部門が頭を悩ましてます。
いろいろ部署をたらい回しにされて嫌になって退職する人もいました。
近所の自動車系の短大の就職先を見てたらディーラーの整備士が多かったですが、大手企業の採用実績を見たら評価の仕事でしたね。
エンジンの耐久評価とか整備士の資格がないと評価ができないこともあります。
SESと呼ばれる客先常駐の社会問題ですがIT業界の未経験歓迎、正社員、文系歓迎、手に職という求人に評価(テスト)があります。仕様書に従ってエクセルに文字を入力するだけの仕事をずっと派遣先で作業するのが社会問題になってますね。
私の会社でも評価の仕事で派遣さんを雇っていたのですが人数の関係で一人異動で工場の清掃に異動させたら怒ってやめてしまいました。