じゃあ、失敗する世襲

世襲オーナーって、失敗することが多いですが、そんなの当たり前です。一から会社を立ち上げるよりは維持することの方が簡単にしたって、相当な力はいるからです。ほんの数年でなく、何十年と維持するだけでかなりの経営能力が必要になります。

修行

大学を出てから、下積みを一切せずに実家に戻る人は高確率で失敗します。サラリーマンを経験せず、サラリーマンの上に立つわけですから、卓越した能力、数字がないと、誰もついてこなくなるからです。ほとんどの人はやったことないことは理解できないので、サラリーマンしないと、サラリーマンの気持ちが理解できないわけです。

並みの経営者にとって社員から得られる共感って、大事です。数字が出ない時ほど共感が物を言います。数字さえ出してりゃ、どんなに酷い人、サイコパスみたいな人でも人はついてきます。数字には魔力があり、お金、名声、評価が湧き出てくるので、共感できなくても満たされてくるし、数字が出ることで共感の疑似体験ができます。

だから、修行なしに実家を継いで成功した人はサイコパスみたいなメンタルの持ち主が多く、顔つきからして猛獣みたいになります。ユXクロのオーナーは修行先を数ヶ月で嫌になって実家に戻ってますが、彼の顔つきなんてサイコパスそのものだと思いますよ。それでも、数字があるから人が付いてくるんですね。

一般的に、男性は学校を出たら小さなプライドを完全に破壊されることからスタートなんですけど、それを経験せずに実家に戻ってしまうと、バカな大学生の精神状態がずっと続いてしまうので、誰にも相手にされなくなり、お金だけが目当てで我慢して付き合ってくれる人しかいなくなります。

空論

小売が家業だと、小売ではなく、銀行、コンサルなんかに修行に出すことが多いですが、これは親心なんだろうな、と思います。小売の兵隊なんてキツイだけで実入りが少なく、出入りの激しい職場がほとんどです。そこでスレてしまっては嫌だ、子供に辛い思いをさせたくない、と言うことなんでしょう。

実家は製造業なのに、文系に行って、聞いたこともないようなショボい海外MBAを取ってから、客先のメーカーの間接部門に頼み込んで、申し訳程度の期間預かってもらうことが少なくないですが、これもほとんどなんの経験にもならないと思います。

歴史あるオーナー製造業の多い、ドイツだと、跡継ぎが文系というのは日本より圧倒的に少ないように見受けられます。ただ、女性オーナーだと文系が多くなり、兄弟の支援をしているようなケースですね。

跡継ぎが家業に関連するPhDを持っている人も少なくないです。ドイツびいきのDMG森精機の森社長もPhD持ってます。彼は社会人ドクターを東大で取っているので、名誉博士的な意味合いも強いと思いますけどね。彼の論文って、一流国際ジャーナルに掲載されてるんですか?

キツイことさせたくないというのは間違った考え方だと思います。そのキツイ現場があって、そのビジネスが成り立っているわけで、教科書通りのキレイゴトでビジネスが成り立っているわけではありません。もし、成り立つならバンカー、コンサルタント、とか言う人たちは起業で確実に勝てるはずです。

下積みもなく、すぐに実家に戻り、数年で何の数字も出してないのに役員になり、机上の空論を喚き散らして、先代からの有形無形の資産を食いつぶしていく世襲オーナーは本当に多いですが、経営なんて悪戦苦闘しながら、実践で覚えるしかなく、数字を出さないと人はついてきません。

右腕

オーナー業をするなら、右腕は必須であり、何でもかんでも一人ではできません。強烈なワンマン社長でも、良い番頭さんがいるもので、キャラが強烈であれば、あるほど、それを補うタイプの番頭さんが必要になります。でも、これがなかなか難しいのです。

多くの人は自分を高く見積もるので、自分と似たタイプの人を評価して、違うタイプを過小評価します。そうすると、被った役割の右腕を選んで、混乱を引き起こしたり、喧嘩になったりします。だから、あえて自分真逆のタイプを右腕にすべきです。

気に入らないから、と先代からの古参を切りまくり、イエスマンを並べてしまい、連れてくる人もイエスマンだけ。少しでも自分に異議を唱えると切り捨ててしまう世襲オーナーは多いですが、こうなれば、もうおしまいです。

芸術家ではないんだから、どんなに有能な人も一人ではできません。自分が苦手なこと、しなくてもいいことをやってくれる人を見つけたり、見出したりできないなら、個人商店の枠を越えられず、企業にはならないんですよね。

チームプレイというのは違うタイプがシナジーを出すことで産まれるわけで、似たようなタイプを揃えると上手くいかないものです。オーナーは自分と違うタイプ、苦言を呈す人を自分の右腕にできるのか?が大事だと思います。

まとめ

現場を嫌ってビジネスで成功することなんてほぼありません。トヨタの章男さんは文系、銀行で修行をしていた為、実家に戻るときに父上は先行きを危惧したらしく、平社員、生産管理部に所属して、現場と格闘して社員の支持を得ることから始めらように言ったそうです。

トヨタは佐吉が発明家、喜一郎はエンジニア、章一郎もエンジニア、親族も英二、達郎と、エンジニアが多いです。だから、本家嫡男、章男さんが文系であることを危惧したのでしょう。彼の役目は旗頭ですから地道に現場から支持を得て、お神輿に上手くのることで、今のところ無難にこなしていると思います。

可愛い子には旅をさせよ、と言いますし、いきなり実家に戻さない方がいいですよ。よほど有能でないと、家業を潰してしまいます。並の人でもやで揉まれてから実家に戻れば、周りに助けられて、ほどほどにやれるものだと思います。

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