じゃあ、幸せの形

働き方について記事にすることが多いんですけど、国として最大幸福を目指していくやり方っていくつかあります。

安定

日本人は激しい競争を望んではいない人が多く、みんな同じで、公平である、と言うことに凄く拘ります。実際にはそんなことはありえないと知りつつも、それを理想と考えているのです。だからこそ、限りなく公平に近い大学入試に対して異常な思入れを持ちます。

戦後、継続成長できている時代は年功序列、終身雇用が確保され、一億総中流の幻想の中で生きており、みんな同じなんだよ、と慰め合い、励まし合いながらやってくることが出来ました。そう言う意識だから、日本人は優しい人、親切な人が多く、気を抜けばしゃぶり尽くされる、という意識はありません。

これは一つの理想形であり、世界が憧れたモデルケースでした。過労死、モーレツ社員、と言う激しく働き方も会社が自分、家族を守ってくれる。相応の対価を払ってくれる。妻が家を守っていられるだけの待遇は保証してくれる。という条件の元で成立したわけで、ブラック待遇でもなんでもなかったんです。

でも、これは旧時代の働き方です。人口増、継続的経済成長、インフレ、報酬増などの条件が揃って成立する幸せの形であり、今の日本でそれを求めても無理です。懐古主義的に昭和の風景を美化しても、それが平静が終わろうとすると時代に通用しません。もっと言えば、昭和も初期は不平等社会であり、ほんの数十年続いた幸福な時代を思い出して、そこに囚われていると言えますね。

競争

アメリカは競争の歴史です。欧州のしがらみを嫌った新しい考えの人が移民して、原住民を駆逐し、奴隷を持ち込み、継続的進化を続けてきた超大国です。そのフロンティアスピリッツは今でも同じで、その精神こそがアメリカである、と言えるでしょう。だから、彼らは競争が公平であるなら幸せなんですよね。

実際、アメリカを代表する大企業の雇われトップがマイノリティーのインド系移民一世だったりするので、一定の公平は確保されており、力さえあれば、元々アメリカ人である必要とない、支配者階層の白人でなくても良い考えるわけです。そこに対する反発、実質は違うにしても、これほどメリトクラシーシステムが確保された社会はないでしょう。

シンガポールは別のメリトクラシーシステムであり、元々シンガポール人なんていう概念が薄い人たちで、市民ですら居住権程度にしか感じてない節があります。しょっちゅう、シンガポールパスポート通用ランキングを政府系新聞で取り上げ、メリットをシンガポール国籍のひたすら強調します。

彼らに多重国籍を認めたら、住民の大半が多重国籍選択をするでしょう。何かしらの形で他国に縁がある人がほとんどなので、リスクヘッジするでしょう。禁止されていても、外国籍を隠し持つ人も多いですし、メリットがあるからシンガポールにいるだけで、そうでないなら出て行く、というスタンスです。

シンガポールは人種、国籍は関係なく、使えそうなら取り込んでしまいます。公務員、政府系企業ですら同じことで、シンガポール人だからと露骨に優遇はしません。さすがに不満タラタラのシンガポール人に対して、一定条件の優遇はしますが、その程度です。ただし、首相は外国人は調整弁であり、不況になれば叩き出す、と明言するので大きな混乱にはなりません。

このスタイルを日本人が目指す意味がないし、出来ないだろうと思います。トヨタ自動車のトップが白人ならともかく、インド人になったら耐えられないだろうし、公共機関にすら外国籍従業員が当たり前に入り込んで、間違ってはないが、おかしな訛り、テンポの日本語で話し出したら、国粋主義者が黙ってないでしょうね。

アメリカをモデルにした時代は終わり、かといって、シンガポールなんか見習いたくとも、見習えません。こういう特殊な国を事例として学ぶだけならともかく、かなり日本式に魔改造しないと使い物にならず、アングロサクソン流の統治を学んでも、すぐに破綻するのは当たり前です。

ゆとり

成長をある程度諦めた上で、生活の質を上げていこうとしているのが欧州なんですね。特にドイツはある程度上手く行っています。増えていく移民に困り、右傾化は止まりませんが、欧州連合の恩恵をしっかり受け、国益を確保しながら、労働時間を短縮、休暇を確保できてます。

彼らのやり方は組織がフラットで、有能な人がほとんど全てを決めてしまう指示系統を持っています。あるドイツの自動車メーカーの技術部が取締役部長、シニア、ジュニア、しか居なかったのにはビックリましたね、中小企業の社長みないな感じで、ほとんど一人で決めてます。

担当、決裁権がはっきり決まっていて、わけわからない人はいませんし、その分野で関連学位を持ったプロしかいません。日本では文系の多い購買、品質なんかも、みんな理系学位を持ってるし、元は技術であることが多く、技術的に素人みたいな文系は管理、営業に少しいるだけです。

誰でも出来るルーチンワークはチームでこなしていて、代表メールアドレスで、毎回違う人から返信されてくることもありますし、その場にいる人、手の空いた人がこなしていくシステムなので特定の誰かがいなくて仕事が止まることはないのでしょう。

日本が見習うなら、ドイツなんでしょうけど、日本企業は細かい階層に分かれ、権限のはっきりしない役職を持つ人がウジャウジャいて、関連学位を持ってない素人みないな人間を雇ってしまう。ルーチンワークもチームでこなすことが出来ないんだから、仕事の為の仕事をしてゆとりは持てないんでしょう。

その代わり、ドイツ人の暮らしは質素なんですよ。給料は物価に対して安いので、外食なんて滅多にできませんし、昼食は社食でないなら弁当です。娯楽も自宅でパーティとか、ハイキング、サイクリングというお金のかからないものばかりです。でも、年一回の休暇は長く暖かい場所で過ごすし、車は好きですし、家にはお金をかけます。

日本人は気軽に外食を出来るし、娯楽は多いし、ショッピングの選択肢もたくさんあります。塾漬け、習い事漬けで散財し、家族の時間を削って夫は仕事したり、同僚と呑んだり、妻はカフェでママ友と駄弁ったり、子供は偏差値競争、大して好きでもない習い事に明け暮れます。

まとめ

そろそろ、日本は何がしないのかを整理していく時期だと思いますね。今のまま、時代に合わないやり方を続けて落ちぶれていくより、低成長を受け入れて、生活の質を上げる努力をし、利益になりやすい仕事を増やすようにしないなら、わけのわからない資料を作って残業手当をもらい、そのお金が特に目的もなく通う塾代に消えて行く、というようなサイクルから逃れられないのでしょうね。

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