じゃあ、キャリアダウン

サラリーマンのキャリアアップについては語られますが、キャリアダウンについて語る媒体は少ないです。私の経験から書いてみようと思います。歳をとるごとにキャリアアップは困難になり、脱落していくことは大前提であり、上手いダウンの仕方を覚えておくといいと思います。

土俵

サラリーマンとして二十代は種まき期間であり、色んな方法で経験を積んでいきます。学校に通ったり、就職したり、転職したりと様々です。この時点での一貫性はさほど求められません。若いんだから仕方ないよね?、という反応をする人がほとんどだからです。

サラリーマンとして頂点に立った、と言ってもいいGoogle、ピチャイ氏とて、迷走時期はあり、学校を出て始めた仕事は材料エンジニアですし、次はコンサル、そして、当時IPOしたばかりのGoogle入社と手当たり次第にキャリアを積んでいます。

ただ、ピチャイ氏は三十そこそこの若さでGoogleに部長クラス入社を果たしているのです。これは現在のGoogleではほぼ無理だと言えます。彼くらいの経歴の人は珍しくないので担当レベルでしか採用されないでしょう。

当時、IPOでファッキューマネーを手にして会社を去った創業期に入社したコアメンバーの隙間を埋める形でまだまだ発展途上のGoogleを選んだところが彼の先見の明を讃えるべきでしょう。リスクを取らなければ、リターンもないのです。

つまり、三十代になり初めての転職、異動、任務が上手くいってキャリアアップの土俵に乗ったということであり、ここが失敗したらキャリアアップはかなり難しくなります。取れる道は三つ、足掻いてみる、ニッチポジションを狙う、キャリアを諦める、です。

ここで、種まきすらしなかった、種を蒔いたが、花は咲かなかった、という人はキャリアは諦めるしかありません。この時点での下方集団にいるなら、そこからのサラリーマン人生は厳しいものになるでしょう。

待遇が横ばい、ダウンさせながら職を転々とさせたり、後輩に先に行かれ、それを黙って見ながら淡々と生き残る為の算段をするなり、半ば投げやりにその場しのぎで感情の赴くままにやっていくことになります。

成果

三十代半ばになると成果を求められます。その人の代名詞になるような成果がないならキャリアアップは出来なくなります。先頭集団は管理職、専門家になってますから、まだまだ修行中では通りません。成果がないならもう負けた、ということです。

成果を上げられず、逃げるようにMBAに行くとか、資格に走るとか、脈絡なしに異業種に行くとかする人もいますが、もっと悲惨なことになることがほとんどです。ここで時間とお金を浪費すれば、キャリアどころか、プライベートもメチャクチャになる可能性が高くなります。

ここまで来ると、キャリアダウンも受け入れるしかなく、縁の下の力持ち的なポジションとか、社格、規模、待遇を落としてポジションを上げるとかして現実と向き合っていく必要があります。この時点で逃げ切り態勢に入るのは難しいですから、なんとか戦える場所を探すでしょう。

稀ではありますが、大企業の平社員が格を下げてマネージャーポジションを掴み、次の機会で大企業にマネージャーとして復帰、というケースもなくはありません。ただ、同年代は一つ、二つ先に行っているため、中団復帰が精々でしょう。

盛り

四十代に入ると、勝敗は決しています。先頭集団は部長クラス、人によっては役員になってます。ピチャイ氏は四十代で雇われ社長に抜擢されてますし、長期政権を狙うなら、この時点で登らないとトップ中のトップにはなれません。

ここで本格的なキャリアダウンが始まります。日系だとキャリアの脱落者から片道出向、転籍が始まります。外資だと待遇を明らかに落として転職をしたり、過去の資産を食いつないでサラリーマンにしがみつく人も多くなります。

ファッキューマネー、それに近いくらいの資産を築いて、セミリタイア的な仕事をしだす人も多くなり、逃げ切り態勢を意識して行動し出すようになります。お金でなくとも、今までに作った人間関係、技術などを切り売りしながら生きていきます。

売るものがない人は組織にしがみつくしか無く、ピエロを演じて上に媚びたり、常に不機嫌になり周りを威圧したり、腫れ物になることで触られないようにするわけです。外資だとこういう人は解雇ですが、日系だと、腫れ物、お局になるのが身を守る方法なんです。

終活

五十代になると、キャリアの終活です。オーナー、長期政権の絶対君主になった人以外は転籍、リストラ、お荷物になります。今まで日系では彼らを面倒見るから平穏が保たれていたんですが、これが壊れて殺伐としてきましたね。

ここまでに何が出来るのか?という話で、何にも出来てないなら不安になり、イライラするか、あえて考えないようにして現実逃避することになります。ここで初めて若さとは極めて重要な財産であり、取り返すことができないことを実感するでしょう。

キャリアが完全に終わっても、ここからの人生が意外と長いんですよ。年金をもらうにも10年以上ありますし、子供にお金がかかる時期でもあります。今までの有形無形の貯金が物を言います。これから蓄えることなど出来ません。

まとめ

キャリアダウンも早め早めの対策が大事だと思います。いつまで働くつもりなのか?どういう形態で働くつもりなのか?どこに集中すれば、収入を確保できるのか?を見据えながら競争から離れるべきだと思います。

最初から競争に参加しないのも手ですが、ある程度は努力して貯金を作っておかないと、本当にダラダラ組織にしがみつくのも大変です。周りに嫌がられ、尊厳を傷つけられながらも働くのは楽ではありません。

一番ダメなのは中途半端に競争に参加して、出世に色気を出しながら、全力疾走もせず、投資だ、投資だ、と限られた時間、お金を手当たり次第に使ってれば、競争に負けたことを強制的に認めされられた時の絶望、準備のなさに呆然とするしかないでしょう。

日本ではしばらく終身雇用、年功序列が続き、日本人はキャリアダウンのモデルケースを見てきていません。なんとなく勤務先に定年まで面倒を見てもらえると、根拠もなく信じ込んでいるわけです。そして、裏切られて精神崩壊します。

若者は自分の身を守る為に努力していくことを選ぶのではなく、最低保障のついた医者、終身雇用制度を維持している公務員を漠然と目指している衰退国家、日本ですね。いつまで過去の貯金を食いつぶすだけでやっていけるのでしょうか?

29+